週刊プロレスの大きな転換期、の話

コラム

続けていることに価値が出るのならば、「週刊プロレス」を43年間、1号も欠かさず発売日に手に入れ購読し続けている私の価値というのはどれほどまで高まっているのでしょうか。しかも全号保存しているという。正直、置き場がありません。
そんなヘビー読者以上のメガトン読者な私にとって、ここ数週間の週刊プロレスには複雑な感情を抱かざるを得ない誌面になっています。
というのも、湯沢前編集長が退任され第10代の井上編集長が就任したタイミングで、公に明文化やデザイン刷新の告知はされていないものの、これまでの週刊プロレスを覆す、かなり大きな編集方針の変更を感じているからです。
3回前も新編集長就任を受けて「週刊プロレスの表紙について」書きましたが、今回は「週刊プロレスの役目と姿勢」についてのお話です。

週刊プロレス No.2413 の衝撃

先週以降に起きた大きな出来事として、新日本プロレスの全株式がブシロードからテレビ朝日とサイバーエージェントに譲渡されたことにどう切り込むのか楽しみにしていました。
ですが、こんなとんでもない大きなニュースでありながら、プロレス界唯一の週刊専門誌である週刊プロレス(週プロ)の今週号(2026年6月17日号/No.2413)は、巻頭の1ページにどこの媒体でも紹介済みの既存の事実を差し込み記事で伝えるのみ。新編集長になってから毎号誌面の半分近くを割く特集記事とそれにまつわる選手の表紙は予想の範囲内でしたが、まさか新日本の親会社が変わるという出来事がさらりと伝えられ、それに対して編集部や編集長の見解や所感、この先の展望などについてのコメントが一切掲載されていないとは…。
これは個人的にかなり衝撃的な誌面でした。
これまでの週プロと比較して、ではなく、プロレス専門週刊誌が読者へ伝える見解よりもプロレスの特定選手や箇所にターゲットを絞った特集記事を優先させた、という覚悟ある編集方針に対してです。

ついにこの時が来た

3回前に私は記事内で「井上新編集長時代の新・週刊プロレス。今回の波紋(表紙の物議)でさらに楽しみになりました」と書きました。正直この気持ちは今でも同じです。むしろ、特集記事に関しては毎号どの部分を取り上げるのかが楽しみでもあります。
ですが、この期待は、まずその週に起きたプロレス界の出来事や試合をしっかり取り上げてから、が大前提です。
週刊誌ですから、現代の情報収集の主流であるネットニュースやSNSの速度には適いません。
もちろんそれは理解できますが、本質を手放してはいけないと思うのです。プロレスの興行を試合そのものをまったく見せずにマイクアピールだけで成立させてしまうようなものです。
就任してから新しい週プロを作り出そうという編集長の覚悟。それを決定的に突き付けられた今週号は、私の長い週プロ歴の中で大きな分岐点となる一冊になりました。
それは、WWEが「スポーツエンタテインメント」と明言したときのような気持ち、「ついに舵を切ったか…」という印象です。

これまでの役目を終えた週プロ

毎号変わる特集記事は、対象の選手へのインタビュー、歴史の振り返り、ページを大きめに使う写真など、毎号読みごたえもあります。これを制作している編集部員の皆さんの苦労もわかります。
紙媒体が速報性に乏しい時代背景もあって、付加価値を重視する方向へ切り替えたのもわかります。
特集記事の内容に興味があるファンにとっても「今週は週プロ買おう」と思わせる「いつ買ってもいい、いつ読んでもいい雑誌」へ変化したのも狙いでしょう。
ですが、逆を言えば、プロレス界のニュースを大きく深く取り上げなくなったことは、「週刊プロレスのムック本化」になりました。
すなわち、これまで43年間、毎週発売日に買っていた週刊プロレスは、発売日に買わなくても良くなってしまいました。
週刊誌としての週プロは役目を終えた」のです。
私と一緒に過ごしたプロレスとの43年間を振り返るとき、バックナンバーを思い出して、引っ張り出して、読んでしまう、そんな歴史的資料としての週プロではなくなったのでしょう。
これほど長く愛読している読者の方は極々わずかであることも、今はデータベースで過去の誌面がパソコンやスマホで簡単に見られるのも知っています。ですが、メガトン読者としては残念な気持ちでいっぱいなのです。
もしかしたら今後、隔週化、または月刊化になるのでは…という危惧さえ感じてしまいました。

週プロという“週刊誌”への信頼

紙媒体の弱みを削って強みをより大きくし、プロレス情報誌というよりもプロレス及びプロレスラー専門誌になった週プロ
時代の流れといえばそれまでですが、「少年週刊ジャンプ」が今もジャンプらしい作品を何世代にも渡って毎週届けているように、「週刊プレイボーイ」が今もアイドルのグラビアをカラーページで大きく掲載しているように、週刊誌というものの基本姿勢は変わってはいけないものだと私は思っています。
プロレスを届ける!という本質は創刊以来ずっと変わらないものだと思うので、その大事な姿勢は信頼しています。
この編集方針の大きな転換期を乗り越えて、新しいファンや読者層を獲得し、売り上げや発行部数が増加することもプロレス界の発展ですので、週刊プロレスの未来が明るくなっていることを願っています。

ありがとう週プロ、そして…

今回のまとめ。

これまで、ありがとう、週プロ
そして、これからも、よろしく、週プロ
来週号も楽しみです

え?今後も買うの?長年続けた購読を止めるんじゃないの?
するわけないじゃないですか。こちとら、プロレスファンですよ。
そして、週刊プロレスはプロレス専門誌ですよ。プロレスのことしか載っていない雑誌ですよ。
プロレスのことはもっと知りたいんです、何年経っても。
あと、今週号の表紙の武知海青選手がさわやか過ぎて眩しいんです。

では、またここで。

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