8月9日と10日に開催されたプロレスリングノアの後楽園ホール大会。2日間で多くのタイトルマッチが組まれたのですが、その中でも異色だったのが、8選手参加で行われた「GHC200」初代王座決定トーナメントでした。
この「GHC200」という新設されたタイトルの最大の特色は、試合時間を「わずか200秒」に限定したこと。200秒という限られた時間の中でハイスピードかつ濃密な攻防を展開し勝敗を競う、という新機軸の王座です。
今回はこの2日間の「GHC200」計5試合を見て感じた「200秒のプロレス」についてのお話です。

「GHC200」とは?
まず、この「GHC200」のタイトルマッチ(王座決定トーナメント)のルールは以下の通りです。
「フォールカウント=通常と同じ3カウント」
「場外カウント=5カウント」
「時間切れ引き分けの場合=トーナメント戦は両選手失格、防衛戦は王者の防衛」
このルールを見ると「場外5カウント」と「時間切れ引き分け」が目新しいのですが、実際の試合での重要ポイントは「3カウント」でした。これが試合を難しくさせる最大の要因だったのです。

200秒で決着する難しさ
率直に、今回のトーナメント戦だけで言えば、200秒で勝敗をつけなければいけないプロレスは「雑なプロレス」でした。試合中は技を出すことだけに急ぎ過ぎていました。
これだけの実力がある選手たちがエントリーしていて、このメンバーでは30分あっても決着つかないことだってあるのに、200秒の試合だなんて!いったいどんな展開になるんだろう!どんな決着が見られるんだろう!楽しみ!という対戦カードが並んだ1回戦でしたが、蓋を開けたら4試合中2試合の結果が「時間切れ引き分け」。正直、何とも言えない空気でした。
準決勝が消滅しトーナメントの意味も薄くなった中での決定戦では3カウント決着だったのでまだ救われましたが。
このタイトルは新しいプロレスの形式として設立されたものです。ですが、今回の試合で浮き彫りになった課題点で、ルールの改定や選手の戦い方、また観客も試合の見方、もちろん改善されていくのでしょうが、現時点でだけなら「ほら、やっぱり」という意見や感想を持たれてしまったのも事実です。
ただ、ここで「こんなの定着しない」「存在理由がわからない」で片付けずに、どうすれば独自で面白いタイトルになるか、どこを改善すれば楽しめるか、を考えてみます。

ルールの改定案
まずはルールの面から。
今回、勝負がつかなかった試合では、通常と同じ3カウントだったからという要素が大き過ぎました。
なので、2カウント、いや、それは他の試合でも見られるので、200秒という高速性を活かすために「1カウント」で勝敗をつけてみてはどうでしょうか。
レフェリーがマットを1度叩けばそこで試合終了です。フォールの体制に入っただけで緊張感が生まれます。
場外の5カウントは今回充分に活かされていたのでそのままで良いと思います。
オーバー・ザ・トップロープルールの採用も考えたのですが、これを取り入れるとイリミネーションマッチのように「場外出し合い合戦」になってしまうので、場外5カウントはちょうどいい長さに感じました。
この試合形式で観客が一番望んでない結末は、時間切れ引き分けです。それを可能な限り少なくする、排除する、そんなルール改定を希望します。
入場の改定案
試合以外での改善点ですが、選手の入場の方が長い、というのがむしろ間延びしてしまうように感じました。
このタイトルに限っては、対戦する両選手はGHC200専用のテーマ曲と共に両コーナーから同時に入場。両選手リングインと同時に試合開始のゴング。という流れであれば、観客にも「入場から試合終了までの疾走感が堪らない」という高揚感をもたらします。こんな入場や試合開始もこのタイトルならではの光景になりますし。
対戦カードの改定案
そして、対戦カードです。
初代王者(HAYATA選手)が決定したので、今後はタイトルマッチになります。
であれば、主要王座戦に絡まない選手たちが主役になれるチャンスのタイトルであってほしいので、若手選手の抜擢、ハイスピードに特化したフライヤー、技一発の重みが段違いのパワーファイター、など、その時点でのチャンピオンとは真反対に位置する選手を起用してほしいです。
それは所属選手だけではありません。この戦い方であれば他団体や海外からの選手にとっても最高の自己紹介の場にもなるでしょう。
実施ペースの改定案
また、タイトル戦のペースですが、プロレスリングノアの興行ペースであれば、このタイトル戦が各大会で必ず開催されてもいいかと思います。
事前にカードを発表しなければならないので簡単ではないですが、例えば同じ対戦カードでタイトルマッチの連戦を行うのもいいですし、挑戦者の順番だけは先に決まっているのも面白いかもしれません。
タイトルの性質上、チャンピオンが頻繁に入れ替わるのを逆に利用して、意外なカードが提供できると期待感は膨らみます。
演出の改定案
最後に、試合の演出です。
今回のトーナメント全試合に使われていた「200秒のカウントダウンのクイズ番組みたいな効果音」。あれは必要ありません。
むしろ、これはかなり気になった部分で、プロレスの良い部分を消してしまっていたのです。
これは個人の好みでもありますが、試合中に効果音が使われたり、音楽が流れているのは、観客の想像力とドキドキ感を聴覚化していて邪魔にしかならないです。これは真っ先に廃止してもらいたい演出でした。

200秒の中の可能性
200秒でプロレスを伝えるのは、もしかしたら中だるみがなく飽きさせない60分フルタイムの試合よりも難しいかもしれません。
ですが、せっかく設立したタイトル、ぜひ団体にとってうまく活かしてほしいと願っています。
このスタイルがプロレスの主流になることは何十年先になってもありません。これは断言できます。
ですが、ひとつの興行のアクセントには充分なり得る可能性は満ちてると思うので。
今回のまとめ。
200秒じゃ強い弱いは決められない
でも、200秒で勝った負けたは決められる

あのWWEですら、3分リミット勝負の「Speed」は定着しなかったのですから、このタイトルが新機軸になるのは相当困難でしょう。
だったらもう早めに「どうにでもなれ!」な無茶苦茶をやってしまうくらいの挑戦でいいのです。頓挫して「ほら、やっぱり」と言われてもいいじゃないですか。
なので、私たちも、とりあえず200日は見守りましょう。
では、またここで。

