プロレス深夜便相談室、の話

コラム

プロレス相談室、では、続いてのお悩みです。
東京都のラジオネーム「ファイターチキンより万カツサンド」さんからのご相談です。

「自分はプロレスを見始めて、プロレスファンになって40年以上の大ベテランファンです。その間、一度も挫折することなく、見飽きることも見逃すこともなく、毎週毎日試合を見て情報をチェックして考えて、プロレスと真摯に向き合って楽しみ、そして愛してきました。そんな自分ですが、最近プロレスへの愛情が薄れてきているように思えるのです。情報を追うだけで精一杯の日は投げ出したくなったり、配信などでの試合をながら見してしまったり。プロレスのことを考えている時間も少なくなっているような気がします。でも、愛情は変わらずありますし、見たくないとか好きじゃない、といった気持ちも一切ありません。こんな状態の今の自分はプロレスファン失格でしょうか。また、気持ちが上がってこないとき、プロレスとはどう接していけば良いのでしょうか。どうかこの悩みへのアドバイスと叱咤激励と昇天・改をお見舞いしてください。」

なるほど。
まず、40年以上の長きにわたり、一日も欠かさず熱い情熱を捧げてきたとのこと、まずはその驚異的な誠意とプロレスへの誠実な向き合い方に、心からの敬意を表します。毎週毎日の試合観戦はもちろん、日々の情報チェックまで途切れなく続けてこられた歴史は、まさに「ファンの鑑」そのものです。

さて、ご自身が「プロレスファン失格ではないか」と悩まれている点についてですが、結論から申し上げれば失格などでは断じてありません。むしろ、40年という人生の半分以上を捧げてきたからこそ訪れた、極めて自然な「情熱の踊り場」にいるに過ぎないのです。

日本では結婚記念日の長さを宝石で表現します。40周年は「ルビー婚式」とされています。25周年の「銀婚式」を過ぎ、輝きをさらに上質なものにしたルビー。そしてこのあとは50周年の「金婚式」を迎えるのです。今は「金」になる前に一旦落ち着いている状況なのでしょう。あなたは「プロレスルビー」です。
長年連れ添った夫婦や家族のように、あまりにも存在が日常に溶け込みすぎると、かつてのような爆発的な高揚感や胸の高鳴りを感じにくくなる時期は誰にでも訪れます。それは愛が冷めたのではなく、愛の形が「熱狂」から「空気や体の一部のような当たり前の存在」へと変化した証拠です。それぐらい「当たり前」になるには時間がかかるものです。
それほどまでに真摯に向き合ってきたからこそ、少しの温度差をご自身の心が敏感に察知しているのではないでしょうか。

気持ちが上がってこないこの時期の接し方として、おすすめしたいアプローチが3つあります。
まず、「義務感」を一度手放してみましょう。
毎日チェックしなければ、全試合見なければという使命感をあえて捨ててみてください。情報を追わない日があっても、観ない興行があっても構いません。少し離れることで、欲求が刺激され「見たい!」という感情が自然と戻ってくるのを待つのです。

観戦の切り口を変えてみるのもよいでしょう。
いつもはほぼ見ない団体やどインディープロレス、あるいは海外の小さな会場での試合をYoutubeなどで探してみたり、過去の名勝負や旧知のレスラーの歴史をじっくり振り返る「歴史探訪」にシフトしてみるのも手です。

最後に「見守る側」のスタンスを楽しむのが大事です。
リング上の激闘に熱狂するだけでなく、「今の業界の動向やトレンドを静かに見守る有識者」のような視点で、一歩引いて楽しむフェーズに入ったのだと捉えてみてください。ただし、SNSに苦言を書き込むような人間にだけはならないでくださいね。

40年間積み上げてきた愛の重みは、ちょっとやそっとの停滞期や倦怠期で揺らぐものではありません。焦る必要は一切ないですよ。
プロレスは、ずっとあります。あなたがいつでも戻ってこられるよう、今日も変わらず戦いがどこかで行われています。
安心してください、大丈夫です。

今は少し肩の力を抜き、リングの上のドラマを遠目から眺めるくらいの心地よい距離感で付き合ってみてはいかがでしょうか。
あなたの深いプロレス愛が再び燃え上がる瞬間は、必ずまたやってきます。
それが、明日だったら、明日からまたプロレスを楽しめますから。

今回のまとめ。

「一歩踏み出す勇気」だけでなく
「一歩引きさがる度胸」も大切

「プロレス深夜便」はこの後も続きますが、一曲お聞きください。
マキシマム ザ ホルモンで『ロッキンポ殺し』。

では、またここで。

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