あの雨を降らすのはあなた、の話

コラム

2025年11月8日、愛知県の東祥アリーナ安城。耳に馴染みのあるコインが床に落ちる音が鳴ったのは、新日本プロレスの大会メインで勝利した棚橋弘至が「愛してま~す」と締めのマイクで叫び終えたと同時でした。
オカダ・カズチカ、1年9か月ぶりに新日本のリングに登場。そして、来年1.4の東京ドーム大会、棚橋弘至の引退試合の相手に名乗り出る。
その瞬間、この試合を生配信で見ていた私の気持ちの中から何かが失われ、別の何かが芽生えたという感覚になりました。
コインドロップ音からRAIN MAKERのイントロ、そしてオカダが来場。この数秒間の衝撃。そして、答え合わせ。
なるほど、そうなりましたか。なるほど。
今回は、棚橋引退試合に向けて大きな動きがあったあの日の出来事、そして現在の心境についての話です。

引退試合の最適任選手

オカダ・カズチカが棚橋弘至の引退試合の対戦相手に正式決定。
ふたりだけの因縁やライバルストーリーがある。試合の内容にも期待が持てる。現在は別団体所属だけど繋がりが深い。というようにこれ以上なく相応しい相手。まさに適任者
ですが、私は過去の記事で「今回ばかりは対戦相手は中邑真輔じゃなきゃダメ!」と書きました。それは今でも間違いではないと思っています。

コインドロップ音による解釈

プロレスファンというものは実に都合のいい生きものです。
エンタメで唯一と言っていいくらいバッドエンドを受け入れなければならない過酷な環境で育てられているからでしょうか。
現実を受け入れることを躊躇っていたら展開のスピードに置いていかれる教えを受けているからでしょうか。
業界内のそのときの状況や環境を察知し、可能と不可能のラインを見抜いたうえで感情の起伏を自発的に行い、あらゆる想定外が起こっても一喜一憂していけるよう仕込まれているからでしょうか。
かく言う私もそのひとりでして、この日、メイン後にコインドロップの音が聞こえた直後は先ほどの衝撃と同時に「中邑真輔、というかWWE、ダメだったかぁー」という肩透かし感にも包まれ、複雑な気持ちになったのです。

プロレスファンのスキルで着地

しかし、WWEは実に手強い。ライバル企業と提携している団体に所属選手を1日だけでも派遣してくれる、なんて都合の良い期待を粉々に砕いてくれました。がっかりよりも仕方ないという方が強いのでショックはないのですが、WWEとAEWの溝は思っていたよりも深かったなぁ、と。プロレス界の現状だなぁ、と。
ですが、それをプロレスファン特有のスキルでうまく自己解析して、数分後には「やっぱりオカダじゃないと!」と言えるのです。
今回の件でプロレスファンの良さを再確認できました。
そりゃ棚橋弘至 vs 中邑真輔戦は見たかったですよ、しかも棚橋引退試合でならばなおさら。
でも、これでもう動き出したのです。棚橋弘至 vs オカダ・カズチカも楽しみな選択肢のひとつです。
選手も団体もファンも、この大事な一戦をよりベストな状態で挑むためのコンディション作りと集中力の向上を既に始めています。

「結果的に」で全部うまくいく

プロレスでもそんなケースが多いですが、生きるうえで大事なことのひとつは「結果的に」だと思うのです。
今回のこのカード決定は様々な巡り合わせが重なって「結果的にうまく収まった」というところじゃないでしょうか。
もしあのとき、中邑がWWEへ行っていなければ。
もしあのとき、柴田が大怪我を負わなければ。
もしあのとき、オカダがAEWを選択していなければ。
もしあのとき、内藤が退団していなければ。
そんな様々な要因が重なって「結果的に」レベルが違う最高の引退試合のカードが生まれたのだと思います。
逸材を通して、金の雨を降らす人、海の向こうで滾る人、闘争心を貫き通す人、自由になった制御不能な人、その選手たちの悲喜交々も結果的に見えてくるのでしょう。
そして、最高の引退試合、最高の大会になるのは、結果的にではなく結果が確定しています。

今回のまとめ。

希望通りにならなくても
結果的にうまくいく
それを作り出せるのもプロレス

棚橋弘至引退試合。そのとき私の目の前にはどんな光景が広がって、それを私はどんな気持ちで見つめているんでしょうか。
結果的にどうなろうと、結果は必ずやってきます
楽しみ、と感じる期間が終わり、いよいよ覚悟を決める時期になりました。

では、またここで。

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