2月11日に開催された、新日本プロレスの大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)大会。
第0試合からメイン終了後のマイクまでのすべてをリアルタイムで見ましたが、ひとことで表現するなら「控えめに言って神興行」。
大会数日前にチケットが完売した期待に応えるどころかそれを遥かに上回る充実さで、どこを切り取っても印象的な場面ばかり。会場に集まった5,502人のお客さんも、配信で見届けた視聴者も、かなり大満足な大会でした。
今回は、この大会や試合の観戦記…では速報性も薄いですし、こんな内容の濃い大会を全試合振り返ってたらとんでもない文字数になってしまうので、この大会全体を通じて得た確証を書いてみよう、というお話です。(文中の選手名は敬称略にさせていただきます)

神興行になった要因
まずは、今回の「THE NEW BEGINNING in OSAKA」はなぜここまで充実した「神興行」になったのか。その要因を考えてみます。
項目として挙げるならば
・各試合で大きなテーマを掲げていたカード編成
・はっきり異なる試合のスタイルが並んで見やすかったベストな試合順
・メインとセミで20分、他は10分前後の決着になった濃密でクオリティの高い試合内容
・今後の展開へ繋がる試合後のお久し振り選手乱入サプライズ
・観客の誰もが不思議と嬉しくなれる多幸感に満ちたラスト
これらの項目が計算されたようにしっかり絡み合い、試合単体だけでなく大会という線になって、満足感がメイン終了まで右肩上がりで上昇していく。そんな素晴らしい興行でした。

2.11大阪で見えた光の先
さて、この大会を通じて見えた確証。それは
新日本が歴史と現在の融合で未来を照らし、新たな時代に突入させた
ということです。重要なのは、歴史と現在を「混在」させたのではなく「融合」させたことです。過去が未来になったのです。
メインで勝利し初戴冠となった後藤洋央紀の姿に喜びを感じたのは、ここまで何度挑戦しても結果が出なかった歴史があったから。
セミの辻陽太とゲイブ・キッドの魂で会話する壮絶なしばき合いに感動したのは、コロナ禍の野毛道場で共同生活していたふたりの夢と絆と信頼という過去がここで形になったから。
棚橋弘至と真壁刀義のおそらく最後の一騎打ちに感慨深くなったのは、ヤングライオン時代、タイトル戦などで何度も対戦してきた両選手が過去のすべてを背負い、今現在のコンディションのすべてをライバルにぶつけていたから。
KONOSUKE TAKESHITAとボルチン・オレッグの肉弾戦に大興奮したのは、進化し続けるキャリア2年のフィジカルモンスターと、そんな怪物と真正面から対峙しても全く劣らない日本人選手の戦いという過去に存在しなかった現在を見せてくれたから。
満を持して結果を出したベテランにも、プライドを背負って対戦した新世代にも、時間を再始動させた欠場中の選手にも、屈辱的な敗戦で情けない自分を晒した選手にも、過去というそれぞれの歴史が光らせたのが現在、そこで勝負していたのです。
これがただの一念通天や因縁の清算、ましてや思い出作りにならず、現在として成立していたということは、光はその先をも照らしています。つまり、未来へのルートが導かれているということです。明るい未来ってやつです。

感じられる未来への予兆
2.11新日本大阪大会では、どの世代どの団体が先頭に立つという括り以外でも、プロレスに「明るい未来がやってくる!」という確証が見えた大会でした。
「歴史と現在の融合」という抽象的な喩えだとわかりにくい?
であれば、もう一度確認してください。
超満員札止めで埋まった大阪府立体育会館の客席を。
辻 vs ゲイブの試合後に自然発生した「新日本」コールを。
視覚的にも聴覚的にも伝わったでしょう。
押しつけや名称でない、ファン自身が感じる「未来の兆し」は気持ちが良いものです。

今回のまとめ。
過去と現在を融合させ、未来へ繋げるプロレスの力
それが五感で感じられたら、勢いは本物
ありがとう、大阪府立体育会館
そんな神興行だった2.11新日本大阪大会。
未来が見えたのと同時に、この会場での思い出がぐわっ!とフラッシュバックしてきました。
オカダ・カズチカが棚橋弘至に勝利したレインメーカーショックも、ここ大阪府立でした。
真壁刀義とプリンス・デヴィットがノア勢に勝ったあとの大逆襲宣言も、ここ大阪府立でした。
橋本真也が長州力からはじめて完璧な3カウントを獲ったのも、中邑真輔がキャリア1年3ヶ月でIWGPヘビー級王座を奪取したのも、内藤哲也がL.I.Jで大逆転するきっかけとなった激しいブーイングの発祥も、全部のはじまりはここ大阪府立でした。
たくさんの「新時代のはじまり」を起こしてきた会場、それが大阪府立体育会館。
きっと、2025年2月11日の大阪府立も、未来で語り継がれる大会になったと思います。

そんな大阪府立体育会館、今年の4月から約2年間、大規模な改修工事のため利用ができなくなります。
新日本プロレスは今回が改修前ラスト興行でした。
現行の大阪府立、エディオンアリーナ大阪とはいったんお別れです。今までおつかれさまでした。
2年後、改修されたこの会場で行われる大会では、いったい誰がメインを務め、いったいどんな熱戦が見られるのかな。
早く見たいから、改修工事を手伝いに行こうかな。
では、またここで。