『週刊プロレス』という共同体、の話

コラム

プロレスを見始めたのは小学4年生の頃。もう40年以上前のこと。
SNSどころかインターネットも携帯電話もなかったその時代の情報収集は、毎週テレビで放送されていたプロレス中継と、買うのに勇気が必要だった「東京スポーツ」、そして毎週発売されている「週刊プロレス」でした。
1983年7月に「月刊プロレス」誌が週刊化され創刊。今週(2025.1.8)発売の号で、なんと通刊2336号!今年で42周年になる老舗雑誌です。
私は創刊の半年後から読者になり、以来、特定の団体でなくプロレスというジャンル全体追いかけているのもあって今も変わらず購読し続けています。もはや、やめられないです。
抱える在庫は、週刊プロレスだけで約2300冊。その量その重さに、自分のプロレスの歴史は「週プロ」と一緒に歩み続けてきたと実感できます。
ライバル誌も過去に多数存在していましたが、現存する週刊誌は週プロだけ。
ただでさえ紙媒体が衰退している現代、ネット社会に飲み込まれ休刊もやむなしと覚悟する時期もありましたが、42年経っても発行されている強い生命力には感謝ばかりです。
そんな個人的な思い入れも強い週刊プロレス。時代の波にもまれず今の姿勢を続けるべきなのか、もっと雑誌というメディアを活かすべきなのか。
今回はヘビーな読者からのラブレターでもある主観的「週刊プロレスの未来」のお話です。

現在の週刊プロレスの位置

ここで書き記すと莫大な文章量になってしまうので割愛しますが(気になる方はWikipedia で確認を)、週プロには専門誌としては異例なほど多くの事件やピンチがありました。
90年代の同誌のように記者の主張全開な尖り記事がメインの「文字のプロレス」ではなくなり、ここ十数年はニュートラルな内容の試合リポートや大会情報などが基本です。
これについて「昔の週プロは面白かった」とか「無害な情報誌になった」という声も聞きますが、私はそれを気にしていません。昔は良かった論が好きじゃないですし、プロレスの週刊誌として存続していることが大事なので。
あくまで出来事をストレートに伝えてくれさえすれば。悪い意味でなく、それを期待してないのです。
現代はマスコミだけでなくファンも、ただのアンチでも、SNSなどで自己主張を発信できる時代ですから、周りの人が忖度なしにどう感じているのかを知りたければ自分でそれを検索すればいいだけの話で。尖ったものを求めるなら先端がギラギラ光っている場所へ自分から近付いてください。
ただ、やっぱりどうしても、週刊誌はネットの情報速度には適わないのが永遠に変わらぬ現実で。そこが大問題です。

主観的な今後の週プロ誌面

明らかに速度が急激な現代プロレス界。1週間前の試合の振り返りより、今進行している出来事を追わないと置いていかれます。
となると、週刊というタイムロスの大きな媒体で何を伝えれば読者の評価を得られるのか。個人的な意見だけになってしまいますが、週刊プロレスの誌面内容ついて考えてみます。
テーマは「終わった過去よりこれからの未来」です。

試合リポート

たとえ1週間のタイムロスがあっても、試合のリポートは必要ですね。プロレス専門誌ですから。
加えて、そこにネットやSNSで見られないものがあると読み応えがあります。
リングサイドという最前距離から撮影できる迫力ある写真が紙媒体で見られるのは大きなアドバンテージ。さらに言えば、インパクトのある大きな写真が数枚掲載されていたら、重要な試合であっても2ページくらいの掲載で充分かと思います。その写真ひとつと記事でこの試合がどんな内容だったかを伝えるのが編集者の役割でしょう。

情報と予告

試合リポートを縮小する一方で、今後開催される大会や注目の試合について多く深く取り上げます。
結果はネットで周知されますが、先々の試合について多くのメディアは取り扱いません。団体の規模が小さくなればなるほどそれが顕著です。
なので、団体の大小関わらず、選手へのインタビューやこれまでの経緯、展望など、メインカード以外でも編集者が注目する試合をしっかり記事で取り上げれば関心度も上がりますし、煽りとして業界全体の活性化にも繋がるはずです。
現在も各試合に向けての告知的記事はいくつもありますが、タイトルマッチだけでなく気になる対戦など根掘り葉掘りと今以上のページで掲載出来たら、それこそ「未来に繋げる専門誌」になるのではないでしょうか。

企画

試合以外で毎週載せられそうな記事だと、ネットが取り上げないような選手へのインタビュー、デビューから日も浅い若手選手の紹介、各団体に存在するユニットの特集、プロレス関連の書籍のレビュー、など、現在進行形のプロレスの紹介になるような企画があると初心者への導入にもなると思います。
歴史のものであれば、現在トップ選手の若手時代のインタビューの再掲、過去に実現した今では考えられない対戦の振り返り、〇〇年の△△(団体)の出来事、と、単に「昔はこうだった」ではない今のプロレス界にも関連する紐解き記事は専門誌ならではで興味深いです。

団体特化

また、近年は定期購読する読者よりも、自分が好きな推し団体の記事が載っている号だけを買う層が多いようです。
であれば、ビッグマッチの試合リポートに加え特集記事や特写などで、ひとつの特定団体を大きく取り上げる号があっても良いかと思います。週プロ編集部が作成するその団体のパンフレット、のような。
こういう振り切り方にも需要はあるはずです。

専門誌として望むこと

以上、編集方針や取材人員の問題を気にせずがあくまで勝手な物言いになりましたが、これからも週刊プロレスには現存する唯一のプロレス週刊専門誌として歴史を紡いでいき、プロレス界発展のための大事なピースになることを望んでいます
これまでに、週刊プロレスに影響されてプロレスがさらに好きになったという人はたくさんいます。もちろん、この先の未来も誌面が充実していればそういうファンが増えるはずです。
一番大事なのは「情報誌」ではなく「専門誌」であるという基本の精神を忘れてほしくないこと。
問題提起や辛口記事ばかりでは潤滑に事が運ばない時代ですが、「通信」でなく「報道」という姿勢で、ときにはしっかりと物事を伝えてほしいと願ってます。
雑誌はまず読者あってのものです。読者のプロレス脳が刺激されるような誌面作りに今後も期待しています。そして、毎週、ありがとうございます。

いつも一緒さ!週刊プロレス

今回のまとめ。
プロレス界×週刊プロレス=発展
馴れ合いではない共存で繁栄を

たしか、はじめて買った週プロは250円だったなあ。今日、最新号をコンビニで買ったら600円でしたよ。あの頃から2.4倍の価格。時代を感じる…。
価格は2.4倍ですが、その頃から比べて今現在の私のプロレスへの愛情増加度は2.4倍どころじゃありません。24倍でも240倍でも納まりません。きっと今週号のナンバリングと同じ数字、2336倍はありますね。積み重ねなので、週刊誌もプロレスへの知識と愛も。

もし、私が「三びきのこぶた」の兄弟のひとりだったら、週刊プロレスで家を建てます。
オオカミが襲ってきても、兄弟がオオカミに食べられても、オオカミが帰った後も、ずーっとバックナンバーを読んで過ごせるので、一生安心です。

では、またここで。

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