そのビルの7Fにいつも新宿FACE、の話

コラム

まだ3月ではありますが、毎年12月に発表される「今年の漢字」は『』で確定なんじゃないか、というくらい、大きな喪失感が毎月のようにやってくるのです。
新宿FACE、2026年9月30日、閉館。このお知らせを目にしたときの寂しさと、10月以降のプロレス界に訪れるかもしれない不安は相当なものでした。今回はこの「新宿FACE閉館について」のお話です。

新宿FACEはまさに最適空間

以前「20XX年 後楽園ホール問題」の際にも書きましたが、日本の主要プロレス会場は昔から固定化されていて、一番のメッカというべき後楽園ホールも老朽化でいつ使えなくなるか、そのカウントダウンが開始しています。先日閉館が発表された新宿FACEは歴史としては21年という長さですが、その立地とキャパがこれ以上なく現代のプロレス界にマッチしていて、幾多の団体やプロモーション、個人の主催興行まで数多く利用されている「最適な会場」でした。
500名収容という最適なキャパシティ。
新宿の歌舞伎町という最適な立地。
ライブハウスの構造が織りなす最適な音響。
ワンドリンク制という最適なほろ酔い。
窓がなく壁が真っ黒で天井がやけに低い最適な空間。
観客席で乱闘するのも水を撒くのも無茶苦茶なアイテムを使うのも可能という最適な規制。
一番見やすくテーブルもあってなぜか選手も良く襲ってくる最適なカウンター席。
ここでしか生まれない異様な熱狂による観客と選手の最適な一体感。

数え上げればキリがないですが、観客として何度も足を運んだとこがあるものとして、個人的には「最適なプロレス会場」でした。
それは観客としての視点や感想だけではありません。その日のプロレス界は新宿FACEの話題一色でした。閉館が発表されたあとに、SNSではどの選手どの主催者どの関係者も「残念」「寂しい」と言葉にしていて、きっと業界内でも新宿FACEへの愛やありがたみが相当大きいものだったんだろうというのが伝わってきました。

代わりがないから悲しい

閉館までの6ヶ月で何度足を運べるかな。あの場所でプロレスが見られなくなるのは寂しいな。そして何より、ありがとう。と、新宿FACEへの思い出や感謝は尽きることがありませんが、さて、実際問題、秋からどうなるんでしょうか、プロレス団体の興行の軸は。
それを考えると不安が拭いきれないのです。
後楽園ホールと新宿FACEと新木場1stRING。この3つの会場にプロレス界は頼り過ぎていたのかもしれません。いざそのうちのひとつが失くなると発表され、でも大丈夫!と思えないということはそういうことでしょう。
各プロレス団体はおそらく秋以降のスケジュールや会場の手配を既に行っているでしょうから、何らかの策を練っているはずです。
ですが、プロレスファンとしては、やはり新宿FACEがなくなることのカバーができないのです。
例えば、年末年始やお盆時期以外で地方から東京に1週間旅行に来たプロレスファンが「東京でプロレスを見たい!」ってなったとき、新宿FACEに行けば何かしらの興行がやっているから大丈夫だよ、という安心感はなくなります。
後楽園ホールでも頻繁に興行は行われますが、動員数の多い大きな主要団体がほとんどです。大小幅広く使っている会場は新宿FACEだけなので、たまにしか東京で観戦できないプロレスファンにとってはとても重宝されていました。
その代わりになる会場。新木場。板橋。確かにあるといえばあるのですが、あの新宿FACEならではの雰囲気は味わえなくなるんです。寂しい以外の何物でありません。
代わりは、ない。これが現時点での着地点ではあります。

なくなるときと生まれるとき

何かがいなくなってしまうときは、それまでの記憶があるから喪失感というものが生まれます。
でも、何かが生まれるときは、それまでの記憶も思い出もゼロですし、それが今生まれたという感覚もないのです。その記憶は自然に発生するものですから。
もしかしたら、既に何かが生まれているのかもしれない。新宿FACEへの喪失感で肩を落としている今、新しいものが根付き始めているのかもしれない。会場だけじゃなく、選手も団体もそうです。新しい軸が大きく太くなる時期なのかもしれない。それはどこなのか、そしてあるのかもわからないけど、そうであってほしい。と感じます。

今回のまとめ。

大きな木は倒れればひと目でわかる
大きな木になる前の苗は目には入らない
きっと足元に将来の大木があるはず

新宿FACE最終興行、どうなるんでしょう。
過去に利用したことがある全団体が集えば、とんでもない伝説的大会になりますね。

では、またここで。

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