さっそくですが問題です。
「1.4 東京ドーム/TAKESHITA vs 鷹木」「3.2 後楽園ホール/OZAWA vs 征矢」「7.16 後楽園ホール/詩美 vs 彩羽」「9.27 後楽園ホール/上谷 vs AZM」「11.3 両国国技館/上野 vs みのる」
以上は2025年に行われた試合ですが、共通項は何でしょう?
おそらく現代のプロレスファンであればイージーな問題かと。
そうです。正解は「ダブルタイトルマッチ」です。もっと正確に言うと「それぞれが保持するふたつの異なるベルトが同時に賭けられたふたりの王者によるタイトルマッチ」です。
今回は、この「ダブルタイトル戦のメリットとデメリット、今後の展望と期待」についてのお話です。

印象深い過去のダブルタイトル戦
1985年10月。当時アメリカの大手団体だったNWAとAWAのチャンピオンによるダブルタイトル戦が全日本プロレスのリングで実現しました。両者リングアウトの引き分け決着でしたが、この夢のカードを日本で実現させたことに価値も意味も大いにあるという認識でした。これが今から40年前。
2005年2月。老舗メジャー団体の新日本プロレスのIWGPヘビー級王座と全日本プロレスの三冠ヘビー級王座の団体の垣根を超えたダブルタイトル戦が実現しました。59分45秒のKO決着はかなり衝撃的で、プロレス界の歴史が大きく動いた印象深い試合となりました。これが今から20年前。
現代のダブルタイトル戦は、過去のような団体を超越した戦いではなく、自団体が管轄する王座によるダブルタイトル戦が主流です。
上記で挙げたように、今年は各団体が所有する王座同士によるダブルタイトル戦が多く行われました。
そして、そのほとんどで決着がつき、二冠王が誕生しました。
実現が容易で完全決着がつきやすいのは、この数十年で団体が所持するベルトが増えているからこそなのですが、言っても団体内のダブルタイトル戦です。所詮その団体の中だけの渦なので世間はおろか他団体のファンにさえ届かないことも少なくありません。
それでも、各団体がダブルタイトル戦を組むとこの狙いはどこにあるのでしょうか。
(ベルトが乱立する背景や見解は過去の記事に→「多様化?乱立?チャンピオンベルト、の話」)

ダブルタイトル戦のメリット
まず一番大きいのが、二冠王になったチャンピオンをその団体の中心として大きく打ち出していくという訴求面です。逆に言えば「うちはこの選手を軸にしていく」という団体方針の覚悟表現でもあります。
試合に関して言うと、それぞれで自立していたタイトルが同時に賭けられることで、ベルトのイデオロギー対立が明確になります。試合後はほぼどちらかのベルトが移動しているのですから、観客の応援や支持にも熱が入りやすくなります。
また、王者同士が戦うのですから、勝敗もかなり読みにくいです。試合そのものの注目度も高まり、声援も一方に偏ることが少ないので、会場のボルテージはいつもに増して上昇します。
シビアな勝負論と勝敗の明暗がはっきり分かれるダブルタイトル戦はここ一番で実現させることで、団体内の活性化に繋がるので、効果は大きいです。ただ、デメリットも大きいのですが…。

ダブルタイトル戦のリスク
どちらが勝利するにせよ、ダブルタイトル戦による弊害はどこかで生まれてしまいます。
例えば、負けた選手が保有していた方のベルトの価値が下がってしまうこと。
肉体や精神面でのチャンピオンへの負担が大きくなること。
統一化された場合はストーリーが単調になってしまうこと。
ふたつ交わることで各ベルトに根付いていた独特の色が消えてしまうこと。
1本なくなったらもう1本作ろう、とベルトが増える可能性が高まること。

二冠チャンピオンになったあと
メリットの裏にデメリットがあるのは致し方ないですが、その比重で賛否も分かれます。
ただ、その賛否はチャンピオンが手にした2本のベルトをどう扱うか次第で大きく変わるのです。
何本保持していてもそれぞれのタイトルを個別のものとし、別々にタイトル戦を行う王者。
どの相手であってもすべてのベルトをまとめて賭ける王者。
奪取直後に興味のない方のタイトルは即返上または封印する王者。
ベルトそれぞれの主戦場を変えて多方面で活動するための切符にする王者。
このようにさまざまな展開が見込まれますが、二冠王になった選手には重責を簡単に担げるような説得力に満ちた強いチャンピオンとして君臨してほしいですね。

勝負も命運も賭ける試合と大会
2026年の1.4 東京ドーム大会で、IWGP世界ヘビー級 vs IWGP GLOBALヘビー級、IWGP女子 vs STRONG女子、という最高峰王座同士のダブルタイトル戦がふたつ、正式決定しました。
このカードが決定したことで、新日本プロレスはおそらくこの大会を「過去最大のチャンスであり大勝負」と捉えているということが伺えます。
大事なのはそのあと。東京ドームでインパクトを与えたあと。
チャンピオンが何を見せるか、2本のベルトをどう扱い、どう仕掛けていくのか。
この場で実現するダブルタイトル戦の意味が出てくるのはむしろドームの先。チャンピオンが、中心の選手が、どれだけの刺激と影響力を与えてくれるのかが重要です。
今回のまとめ。
ダブルの重みはあとからやってくる
それすら軽々と担ぐ王者こそ中心

ダブルタイトル戦の意味と価値を重厚なものにするのも、明るい材料にするのも、王者次第。
果たして、それは誰になるのでしょう。
では、またここで。


