古くは西暦が大きく変わることでの混乱が危惧された2000年問題、今年だと団塊世代の後期高齢化、ビデオテープの再生不可という2025年問題。というように、毎年それぞれの問題を抱えて動いている世の中ですが、この先起こるであろう問題の中で我々プロレスファンが一番気掛かりなもの、そう!それは「後楽園ホール問題」です。
東京のど真ん中である水道橋、その東京ドームシティ内に構える格闘技の聖地「後楽園ホール」。
1962年1月に完成し開業以来、ボクシングやプロレスなどの「格闘技の聖地」として全国全世界のファンや選手に愛されている歴史的建造物のこの会場も2025年で築63年。すっかりおじいちゃん。老朽化施設という括りに入っております。
今回は、もし後楽園ホールがなくなったら?という「20XX年、後楽園ホール問題」についてのお話です。

後楽園ホールの問題点と素晴らしさ
これまで数えきれないほど観戦で足を運んだことのある後楽園ホールですが、お世辞にも近代的!とか設備が充実!なんて言えないほど古い施設なのは言うに及ばず。
狭く混雑するロビー。
少なく遠回りになる移動の導線。
滅多に乗れないエレベーター。
初見の人には圧迫感を与える落書きまみれの階段。
強化不足が否めないバリアフリー。
今では窮屈に感じる座席間隔。
背もたれもクッションもない南側以外の座席。
…。
63年の歴史と言えばそれまでですが、63歳の旧式な造り、ということです。
ですが、ここが長年にわたり聖地と呼ばれ愛されているのは、それを上回るプロレス観戦でのメリットがあるからなんです。
「どこから観てもリングサイド」といわれる座席位置関わらずリングが見やすい卓越されたひな壇の観客席。
あらゆる路線あらゆる駅を使っても徒歩数分という好立地な交通アクセス。
東京ドームも遊園地もすぐ近くにあるレジャー施設としての充実度。
プロレス観戦前でも後でも飲食や買い物ができちゃう豊富な数の店舗が入ったショッピングモール。
メジャー団体は普段使いとして、インディー団体はビッグマッチ用として使えるちょうどいい観客数のキャパ。
選手の声も観客の声も伝わって熱気が生まれやすいホール内の構造。
さまざまなアイテムの使用が許可されているデスマッチにも最適な利用規約。
受付や案内、清掃もしてくださる常勤の館内スタッフ。
おいしい、ファイターチキン。
なぜか濃い目の、レモンサワー。
何より、この会場でしか感じることができない臨場感。
どうですか。この利点、プロレス会場として非の打ち所がないじゃないですか。

いつか後楽園ホールが消える…
これまで、短期間ながら休館の時期はありました。
2014年には東日本大震災で損傷した箇所と耐震補強などの大規模な改修工事で約40日間、それ以外でも細かなリノベーションで数日間、貸し出しができない期間はあったのですが、さすがに63年という建物自体の老朽化を考慮すると、現時点では計画されていないものの、早かれ遅かれ建て替えによる長期の休館、場合によっては閉館という事態もあるかもしれません。
現に、東京ドームシティ全体の再開発計画が現在進行中であり、後楽園ホールもその対象に含まれてもおかしくない話なのです。
近い将来起こり得るであろう、後楽園ホールがなくなる日。
そうなってしまったらどうなるのか。プロレスが日常的に開催されている日本で一番のメイン会場がなくなってしまうのです。
これが「後楽園ホール問題」です。想像するだけで困ってしまいます…。

格闘技の聖地の移転先は
もし後楽園ホールがなくなってしまったら、プロレスの聖地はどこになるのでしょうか。
両国国技館?
ビッグマッチなら良いけど、日常で開催する興行としては箱もキャパも観客の敷居も大きく高いし、料金も手軽ではないし、年に3度は大相撲本場所もあるから簡単に興行が開催できない…。
新木場1stRING?
コアな層が集まり熱気溢れる会場だし小ぢんまりとしたキャパも手頃だけど、メジャー団体がここで大会を行うには観客との距離が近過ぎる。交通の便も決して最適とは言えないし、駅の周辺はお店がほとんどない…。
現名称がKanadevia HallのTDCホール?
同じ敷地内で馴染みのある会場だしキャパも後楽園ホールに近いけど、音楽関連に適したホールで空間が広過ぎるし、人気のある会場だから既に数年先までイベント予約で埋まっているし、利用料金もそこそこする…。
今後建設される東京ドームシティ内の新施設?
後楽園ホールの歴史を継承する後継会場としては完璧な条件と立地だけど、これがいつ建てられるのかも、そもそも格闘技専用の会場を建てるのかも不明確だし、正直その可能性はかなり難しいような…。

聖地が国を変える、かも?
というように、都心には代わりになる会場が見当たらないのです。
であれば、思い切って後楽園ホールに代わる聖地を東京都心以外で見つけたら良いのでは…?
アクセスが抜群で、駅からも徒歩数分で到着できて、会場内はどの座席でも見やすくて、1,500人くらいの収容人数があって、空間も広々とし過ぎずリングが近くに感じられる。そんな会場が全国のどこかにできれば、そこが拠点となってプロレスによる町おこし、からの主力エンタメの集結、からの県の財政が繁栄、からの日本で一番人が集まる街に、からの移住者増加、からの人口集中、からの日本の首都が東京から移転!…という未来も想像したのですが、こうなるのはかなり先の未来でしょう。

後楽園ホールは奇跡の聖地
結論として、聖地と呼ばれる後楽園ホールのような会場を見つける、または建設することは不可能に近い。ということになりました。
それほど、後楽園ホールという会場はプロレスに特化して、プロレスが繁栄するために必要な、奇跡の会場、だということが再確認できました。
後楽園ホールの代わりなんて、未来永劫どこにも生まれないんだ。
後楽園ホールは、後楽園ホール。それ以外の何物でもありません。代わりなんてなんてありません。
だから、長生きしてもらわなきゃいかんね、後楽園ホールさん。

今回のまとめ。
聖地とは歴史と愛が生み出すもの
聖地とは代え難いもの
聖地とは人の思い出が詰まったもの
みんな、元気!まだまだ、元気!
世界の有名なプロレス会場。
メキシコのアレナ・メヒコが1956年開業。後楽園ホールより少し年上。
ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンは1968年開業。後楽園ホールより少し年下。
東京の日本武道館は1964年開業。少し下だけどほぼ同期。
でも、どの会場も元気!建て直しとか解体だなんてとんでもない話!
世界中にはクラシック音楽のホールなんて開業100年以上とかあるんですよ。
全然ですよ、ここからですよ、後楽園ホールは!

ちなみに、後楽園ホールと同い年の主な有名人は、武藤敬司、柳沢慎吾、布袋寅泰、豊川悦司、山中伸弥、IKKO、トム・クルーズ、などなど。
みんな全然元気じゃないか!これはまだまだ大丈夫だ、後楽園ホール!
では、またここで。