暮れの元気なタッグリーグ、の話

コラム

めっきり寒くなりましたね。という挨拶に違和感を感じないくらい急激に寒くなってきました。
四季のある国・日本ですが、昨年も今年も長くて暑い夏を終えると秋が瞬く間に過ぎ去りすぐに冬が来る、という極端な気候になっています。連日の猛暑で汗が絶え間なく流れ出ていたのがつい先日のことなのに。今の時期に外で汗だくになって歩いていたら、不審に見えて誰も近付かないか、不審に思ったポリスマンが近付いてくるか、の二択でしょう。
世の中すっかり冬模様。街ゆく人はコート姿。来年の手帳やカレンダー売り場。スーパーでも鍋料理の食材やスープなどがたくさん並んでいます。
そうですね。冬と言えばやっぱり、これ
そう、タッグリーグ戦ですね。
違わないですよ。プロレス脳の人間はそういう連想になりますよ、誰もが。

では、なぜ年末が近付くと多くの団体でタッグリーグ戦が開催されるのでしょうか。年末に開催する意図はなんでしょうか。
今回は、年の瀬になるとプロレス界でタッグリーグ戦が多くなる理由やメリットを、プロレス脳を使って考えてみました、というお話です。

冬のタッグリーグ戦の発祥

今現在(2024年11月20日)日本では各団体で3つのタッグリーグ戦が開催されています。
一度にたくさんのタッグチーム(選手)を集めて各地で連日連夜公式戦を行うとなると、選手層が厚く巡業システムを持つ団体でないと難しいのですが、現代のプロレス界で同じ時期に3つもタッグリーグ戦を開催しているのは、日本でプロレスが盛んな証。そして、11月から12月上旬が「タッグの季節」というイメージが定着しているからにほかなりません。
日本プロレス界での「冬の風物詩」の歴史は古く、1977年12月に全日本プロレスが創立5周年記念として開催した「世界オープンタッグ選手権」が草分けと言われています。
開催にあたり「12月(年末)の興行は振るわない」「プロレスでタッグリーグ戦は盛り上がらない」というマイナス的な声を覆そうという意図があったようで、世界各国から代表を選出、豪華なメンバーが集まって開催されました。
このシリーズが大好評だったので、その翌年から「世界最強タッグ決定リーグ戦」に名称を改め、団体の名物シリーズとして現在も継続している年末の恒例行事になりました。
他の団体も同じ時期にタッグリーグ戦を開催してますが、きっかけはそれへの対抗心だったかもしれません。でも今では「冬はタッグの季節」という印象を根付かせ、毎年恒例化しています。

なぜタッグリーグ戦は年末開催が多いのか

では、なぜタッグリーグ戦は年末の開催が多く、時期的にもベストなのか。
その要因を考察してみました。

●海外含め多くの選手が参戦することで、その年の総決算を表現できる
●団体の常連選手を一堂に参戦させることで、日本人が好む紅白歌合戦のような年末らしい豪華なイベントになる

●台風が終わり大雪にも見舞われない時期なので、交通機関の混乱も少なく全国どこでも巡業が可能
●お祭り感の強いタッグリーグ戦を挟むことで、その年のゴールにも、翌年への新たな展開にも繋げられる
●参戦選手が多様なタッグでのリーグ戦のためレアな顔合わせが多数実現するので、イベントが多い年末の雰囲気にマッチする
●年明けへのタッグ戦線新展開へ向けて、現状でどのチームが強いのかをはっきりさせられる


といったところでしょうか。
ただ、もっと人間の本質的な部分でその理由があるような気もします。

「冬になると」はプロレスラーも同じ

私が思う「年末になるとタッグリーグ戦が多くなる理由」の一番の要素。それは、
●プロレスラーも冬になると人肌恋しくなるから
じゃないかという結論に至りました。
いや、そういう意味じゃなく。寂しいとか寒いとかスキンシップじゃなく。戦う選手たちの闘争心や意気込みとしての「人肌恋しい」です。

今年も終わりだな。無事に1年間戦い続けられたな。今年も多くの選手とたくさん試合をしたな。最後にもう一度リング上で肌を合わせておかないとな。そういえばあの選手とは戦ってないな。年末までに一度肌を合わせておかないとな。でも試合数も残り少ないから一度にまとめて戦いたいな。だったらタッグマッチが効率いいな。いつも組んでるパートナーとも今年の締め括りができるしな。

これが年末にタッグリーグ戦が開催される意図であり目的なのではないかと。
いわば、年末のタッグリーグ戦は「プロレス界のお歳暮」、「暮れの元気なご挨拶」、という位置付けだと思います。
「年末にタッグリーグ戦をやるのはね、昔からやってたからだね」と言われてしまえばおしまいですが、こういった自由な妄想をする時間もプロレスを楽しんでいる時間のひとつ。こういう探求心はプロレス脳にとても良い刺激がありますし、冬が来たという季節の実感にも繋がるのです。

季節をプロレスで感じる喜び

理由や意図はどうあれ、どんなエンタメでもそうですが、自分の好きなジャンルから季節感を得られることはとても贅沢なことです。
年末開催のタッグリーグ戦という恒例行事は今後もずっと続いてほしいですし、プロレスというものがある限り続いていく文化だと思います。
チームワークを見てハッピーになって新しい年を迎える準備ができる。そんな嬉しい季節です。


今回のまとめ。

冬は、プロレス界も人肌恋しい季節
ひとりより、ふたりがいい
ふたり
だったらたくさんいたほうがいい
だったらタッグリーグでしょ!

今回のお話でたくさん冬のこと考えましたし、暑がりな私もさすがに寒さを感じる時期になりましたし、せっかく冬モードになったので、今夜は鍋料理にしましょうか。
最近は一人用のいろんな味の鍋スープも売ってます。具材だってたくさんの種類が入って切り分けてある便利なカット野菜がどのお店でも売っているのでありがたいです。カット野菜、助かります。
そうなんです。鍋も、タッグマッチも、どちらも「カットで助けられます」。よしっ!
…。  ……。
今夜は一段と凍える夜になりそうです。


では、またここで。

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