レジェンドは未来を眺める、の話

コラム

高齢化社会だ、少子化だ、と言われ始め、いったいどれくらい経つのでしょう。現在、日本の総人口で50歳以上の割合はなんと50.4%(2025年5月1日 総務省統計局推計)だそうです。
となるとプロレス界も自然とその傾向が強くなるわけで、選手全体の平均年齢は年々上昇の一途ではないでしょうか。
でも、プロレス界には便利な言葉があります。そう「レジェンド」です。
今回はこのプロレスにおけるレジェンドの価値についてのお話です。

生涯現役のレジェンド

一時代を創ったり、多くのタイトルを獲得したり、全国区で名前が知られている選手は、どの競技でも「レジェンド」と呼ばれ括られるケースが多いです。
もちろん、プロレスにもレジェンドはたくさんいます。
ただ、他の競技と違うのは、現在もリングに上がってあらゆる世代の選手たちと対戦し続けている現役続行中のレジェンドが多数存在する、ということです。
もちろん、大ベテランのレジェンドが試合に出場し元気な姿を見せてくれること、高齢であってもプロレスに携わってくれることには喜びも感謝も感じます。プロレスだけですよ、生涯現役でいられる競技って。

レジェンドのありがたみ

現役のレジェンドたちはキャリア数年の若手選手との対戦で、プロレスの技術を直接伝授できます。
その選手もレジェンドと対戦できることがひとつの勲章になり、もし勝利できたとなればそれだけでキャリアに箔が付くのです。
これは正しいレジェンドの在り方です。現役を続けているということは、今のプロレスを現在進行形で体感していること。今のプロレスをリスペクトしている姿勢の表れでもあります。
世代と世代を繋ぎ、自分より若い選手の良い指針として存在感を示してくれる。正しいレジェンドは自身のネームバリューの誇示だけではなく、時代の橋渡し役を担ってくれています。

残念な方のレジェンド

ですが、正しくないレジェンドも存在するのが事実です。
正しくないというのは、自分の時代のプロレスは良かった、今のレスラーは受け身も取れない、俺は当たり前のように大きな会場で試合をしていた、などの「懐古至上主義レジェンド」、あの出来事は実は…、あの試合は裏では…、などの「暴露系レジェンド」などを指します。簡単に二文字で表現するなら「老害」というやつでしょうか。本人たちは当然それを否定しますが、そう思われてしまう言動なので仕方ありません。
引退した選手であれば言いたくなるのもわかります。だって、今のプロレスをやっていないんですから。過去の経験と仮想でしか物事を計れませんし。ただ、もし現役レジェンドにそのような選手がいるなら、そこは今の時代のプロレスラーのひとりとして今の時代のプロレスの凄さや素晴らしさを伝えていくべきじゃないのか、自分だけ浮き出てやろうという魂胆はいかがなものか、と思います。

時代を繋ぐ強大な橋

現役のレジェンド選手はとても貴重であり、大事な存在です。
先ほどの技術や表現力の伝承だけでなく、集客力にもレジェンドは影響します。特に地方大会でのレジェンドへの声援は他のどの選手よりも大きいのが現実です。
普段プロレスに接していない人たちからすると、子供の頃にテレビで見たあの選手が見られる、この選手は知っているし久々に会場で見てみよう、というのは大きな来場へのきっかけです。
そして試合内容でも、今のプロレスを知らないファンにも届くわかりやすさや存在感で観客を満足させることができます。これはレジェンドでしか作れない一体感です。
そのレジェンドを目当てで来たお客さんが「今のプロレスってこうなのか!」「最近のプロレスラーも凄い!」と思わせるのが現在中心にいる選手たちの役割です。
レジェンド選手の皆さんはその橋渡し役にもなってくれています。その気持ちに応えるように、どの会場でもしっかりとした試合と闘志を見せなければいけません。

過去の種が今、今の種が未来

プロレスはノスタルジースポーツではないです。
懐古至上主義なんて言うまでもありません。
未来が面白くなるために今たくさん種を撒いていますし、過去もそうやってきたから今が面白いのです。
レジェンドはプロレスに携わる以上、どれだけ年齢やキャリアを重ねても未来を見続けるレジェンドでいてほしいです。

今回のまとめ。

プロレスは過去と未来の交差点
それの交差する場所にいるのが

偉大な現役レジェンドたち

定年制もなく、独立も自由で、名乗ってしまえば誰でも何歳でも現役選手になれる、ある意味、資格年齢無制限の開かれたお仕事、それがプロレス。
キャリアの長さや年齢に関わらず、未来を見据えて活動をしていきたいです。
そして何より、健康には気を付けて。

では、またここで。

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