「正体不明」という四文字熟語にワクワクできる人は、プロレスファンです。さらに言うと、昭和の遺伝子を継ぐプロレスファンです。
正体不明のまま競技に参加している時点でキナ臭さが充満しているんですが、訳があって身元を明かさないように、顔が晒されないようにしているんです。そのために用いるプロレスを代表するアイテム、それがマスク、覆面です。マスクをかぶることで顔バレを防ぎつつ戦うことができるのです。
今回は現代の覆面レスラー事情について、のお話です。

覆面レスラー、数あれど
現在も覆面レスラーは世界各国に多数存在します。
メキシコでは100年以上もその文化が変わることなく続いています。
日本でもメジャー団体にはそれぞれ活躍中のマスクマンがいますし、プロレス活動をしたいけど顔出しNGというマスクの正しい使い方をしている選手がインディー団体などで試合をしています。
WWEにもエル・グランデ・アメリカーノといういったい何者なのか誰もわからない正体不明のマスクマンが今年登場しました。
さて、ここでひとつ質問です。
今現在の日本のプロレス界で、現役で定期的に活動しているヘビー級の覆面レスラー、といえば誰ですか?
…これ、答えがなかなか出てこなくないですか?

現役の国内ヘビー級マスクマンは?
海外なら日本で無名のローカル団体も含めたらおそらくヘビー級マスクマンはいるでしょう。
2000年以前は来日する選手にもヘビー級の覆面レスラーは多かったです。今はかなり僅かになりましたが存在はしています。
ジュニア、軽量級の覆面レスラーは団体の大小関わらず日本にはたくさん活躍しています。
ただ、国内の選手で、重量級、ヘビー級となると…現役ではほぼ存在しないのが現状です。
数年前まではいたんです。
スーパー・ストロング・マシン選手。キャプテン・ニュージャパン選手。マイバッハ谷口選手。
でも、今は皆さん引退されたり忽然と姿を消したり、なんですよね。
となると、ひとりしか思い出せません。
そうです。スーパー・ササダンゴ・マシン選手です。
現在の日本のプロレス界で定期的に試合に出場している大型のヘビー級日本人覆面レスラーという分野は、スーパー・ササダンゴ・マシン選手がシェアを独占してると言っても過言ではありません。
隙間産業を攻めた結果であり、正体不明という武器もあり、さすがは策略家レスラーです。狙いかどうかは不確かですが。

ヘビー級の覆面レスラーがいない理由
さて。そもそも、なぜ国内ヘビー級覆面レスラーは現れにくいのでしょうか。
いくつかの要因を考えてみました。
●覆面レスラー=軽量級というイメージが強烈に根付いている
●表情が隠れてしまうため技の破壊力の見せ方が小さくなってしまう
●キャラは独創性があるが人間っぽさが薄くなるため団体のトップに君臨しにくい
●それ以前に100kg以上ある大型の選手の数が少なくなってきている
●正体の詮索がネットやSNSで簡単に拡散されてしまいミステリアスになれない
●夏場が長くて気温がここ数年で急上昇し酷い暑さになっててマスクなんてかぶりたくない
というように、現代のプロレス界ではなかなか出現しにくい、仮に登場したとしても長続きしにくい、それがヘビー級の覆面レスラーという分野なのかもしれません。

大型覆面選手市場は穴場
ですが、これはむしろ大チャンスということでもあります。
どこかの大きな団体がしっかりとしたコンセプトと設定で大型ヘビー級マスクマンをデビューさせたら、そのセンス次第ではスター選手になる可能性が高いのではないでしょうか。
今回のまとめ。
国内ヘビー級覆面レスラーは定着が難しい
だが、一度定着すればその“顔”だけで強烈な存在感になれる

実は、自分の中ではひとり、浮かんでるんですよ。
ごつい体で説得力と破壊力のある技を駆使してヘビー級戦線を賑わせながらも、なぜかトップには手が届かない現状を打破するため、思い切って覆面レスラーに変貌したら話題性も求心力も集中できそうな選手が。
男らしく端正な風格ですが、マスクという神秘性をまとえばそのポテンシャルが無限大に引き出され、得意のスープレックスでリングを“大混乱”に陥れられる…と思うんですが。

そもそも「国内ヘビー級の覆面レスラー」って、正体不明なのに「国内」とは矛盾ですね。
でも、そこがマスクマンの面白さのひとつでもあります。
では、またここで。