妬まれエリートが勝ち組な理由、の話

コラム

不満も文句出さず、功績も人並みに残し、長年奉仕し続けている。だけど評価されない。そんなもどかしさも持ちつつ働いているこの会社に、ある日外部からエリートらしき人が入ってきた。フルタイムではなく月に数回だけ出社で。出向組か、中途採用か、期間限定の契約社員か不明だが、業績向上のための起爆剤として会社はこのエリートを迎え入れたのは間違いない。その後、このエリートはすぐに大きな結果を出し、会社もそれを後押し、瞬く間に社内のトップへと躍り出る。なぜ自分は毎日ここで身を粉にして働いているのに報われず、月に数回しか来ない外部のエリートが持ち上げられるのか。やがて、この状況を知った会社の外部の人間からも不満の声が出始め、それは日増しに大きくなる。この状況、どこに向かっているのか。

…ということで、今回は「定期参戦していないチャンピオンへの妬みのブーイングってどうなの?」のお話です。

アレルギー的ブーイング

最近のプロレス界のトレンドは「ナチュラル・ブーイング」です。
一番話題なのはSTARDOMに参戦中のIWGP女子王者のSareee選手。
G1 CLIMAX 35優勝者のKONOSUKE TAKESHITA選手にも拒絶反応がありました。
数年前ですが全日本で三冠王者だった中嶋勝彦選手も同様でした。
ビッグマッチだけ参戦して栄冠も存在感も手にしてしまう選手への観客からの反発。それはもはや一種のアレルギー反応です。
団体対抗戦的な選手へのライバル心でもありません。そもそも主戦場にしている団体のチャンピオンなので、その時点では外敵でもないのです。なのに、なぜでしょう。

バッシングが起こる原因

冒頭の会社の話でもそうですが、転職後すぐに結果を出すタイプは、いけ好かないイメージで嫌われがちです。
このブーイングはなぜ起こるのか。
それはズバリ、「たまにしか来ないくせに強いなんて気に入らない」。それだけのことでしょう。簡単に言うと「妬み」ですよね。
「生え抜きの社員が報われないのはおかしい!」という応援する気持ちがエスカレートして「外部から来たゲスト扱いのエリートが仕事ができ過ぎるのが腹立つ!」になっているのだと思います。
その多くは「月に数回しか来ないくせに、毎日ここで仕事しろ!」という意見も持っているはずです。
であれば、その団体レギュラー参戦すれば認められるのか、というとそう簡単にはいきません。
他で忙しいからです。
叩かれるエリート選手がその団体に出場するのは月に何度かですが、それ以外にも全国各地、世界各国であらゆる団体に上がり試合をしています。広い視野で見ればわかることです。これは「陰でどれだけ動いていても目に見えないもの以外は認めない」という悪しき捉え方です。
「チャンピオンなら会場問わず全大会参戦すべき」と言ってる人は、逆を言えば「この選手がもっと見たい!」「主役として団体を牽引してほしい」と認めているからですよね。もはや大好きですよね

炎上にはさらに大きな炎で

定期参戦できなければどうすればいいか。これも簡単です。
外側(ファン)よりも内部(団体所属選手)からの声を大きくすれば良いのです。
選手も批判や不服を強烈な言葉に乗せて発信していけば、その熱をファンが感じ取り、観客のヒートは治まっていきます。妬みに近いブーイングより選手を応援しりたくなりますし、何より試合を通じてイデオロギーの対立が見られるのでさらに盛り上がれるのです。
熱を熱で制して熱を生み出す。プロレスって熱でできていますからね。

強さはここにも表れる

現在、プロレス界で起こっているブーイング現象はこんな理由で実はあまり心配していないのです。
そして、される側の選手がまったく挫けてないことが一番すごいと感じてます。
予期せぬ圧にも屈しない自分を信じ貫き通す精神力。ここも強いんだ!そりゃ勝てん!ってなってるので、個人的にはさらに支持したいですね。

今回のまとめ。

優れているから叩かれる
でも、叩かれても優れたまま
プロレスは優れたものが勝つ世界

アリとキリギリスの勝ち組

アリとキリギリス」という道徳的な童話がありますが、地道に働き続けるアリよりも、愚直に好きな音楽だけに打ち込んでいる芸術肌のキリギリスがかっこいいな…と思ってしまうタイプです。
彼のバイオリン演奏会は行きたい!」。これを思わせた時点で「勝ち」です。
プロレスラーだってどんな状況でも「この選手の試合を会場で見たい!」と思わせたら、それでもう「勝ち」なのです。

では、またここで。

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