ちょっと待って!その革命、大丈夫?の話

コラム

世界史では、過去に世界中でたくさんの「革命」が起きていたことを学ぶことができます。
簡素な漢字二文字ですが、既存の概念や秩序をすべてをひっくり返す滅多に起こることがない大きな変化を成し得たときに「革命」という言葉を使うので、それはそれは相当な出来事なのです。そして、それは成功したからこそ「革命」と言われ、失敗したり討伐された場合は「反乱」「暴動」「テロ行為」で留まるのです。
そんな一国の進路を大きく変えるのが革命。ですが、プロレス界では1980年代からあらゆる選手が革命を掲げ活動し、今では革命が乱発されています。
果たして、そんな簡単に口に出して良いものなのでしょうか、「革命」って。
今回は、プロレス界における「革命」について、のお話です。

プロレスの革命とそもそもの革命

古くは革命戦士。飛龍革命。天龍革命。nWo。最近では後藤革命。現象としてならUWFやFMWの出現も革命でしょう。今では誰かがユニットを結成したら開口一番「俺たちで革命を起こす!」です。革命を掲げた数日後には何も起こらず元の鞘というケースも多々見てきました。
そもそもなんですが、世界史において革命を成功に導いた人は「今日が革命の始まりだ!」とは言ってないと思うんですよ、おそらく。
より良い世界にしようと変革し始め、それに賛同する人が多く集まり、何かのタイミングで既定の概念が覆され、新しい時代を切り開いた、ということが後々に「革命」と呼ばれることになったはずです。

とはいってもプロレス界では

が、プロレスの場合はそうはいかないんですよね。
自分発信で「〇〇革命の始まりだ!」と言わなきゃいけない。マスコミも「〇〇革命、始動」と煽る。団体もそれに倣って革命という言葉を使う。
世界で実際に起きた革命(または未遂)を知る者にとって「革命という言葉はそう簡単に使えるものなの?」という疑問はあるのですが、トップに立ちたい、すべてを自分の理想に変えてやりたい、という理念の人たちが集まっているプロレス界では選手全員が革命家みたいなものです。革命という言葉の重みよりも利便性が優先されるのも致し方ないのかもしれません。

革命とは歴史に残る大逆転

例えば、もしもの話ですが、AEWがWWEを抜いて世界最大の団体になる。日本の最大手団体が新日本から別の団体に移る。スタンダートが女子になり「男子プロレス」という呼称に変わる。これは革命です。
ですが、それはプロレス界全体の規模での話。ひとつの団体で起こる選手主体の革命はあくまでその団体内での変革であって、プロレス史を覆すような事案にまで発展するのかと言えば難しいところです。
プロレス界に影響する革命となると、それこそUJPW(日本プロレスリング同盟)のような組織が日本の団体を統一する、くらいの大きな変革こそ使える言葉であってほしいのです。
「革命」という言葉が乱用されてしまう近年。ただ選手が自己主張するときに用いる気軽で手頃なワードに変化してしまうことは、その重みが薄れ、ファンも期待感を持つより辟易的な反応だけになる、危険な傾向かと思います。
これから革命という言葉を使おうとしている選手には、世界情勢が動いている今の時代だからこそ、言葉の重さを意識して使ってほしいと思います。

「革命」を行う価値と覚悟

革命は簡単に遂行できないからこそ革命です。
また、革命は起こしてすぐに結果が出ません。それが革命だったかどうか、成功か失敗かの判断はファンの望んでいた未来がそのとき実現しているかどうかです。
でも、プロレスラーは全員が革命家です。
だからこそ、革命のインフレ化を避けるために言葉の価値と意味、もう一度確認してから使ってみませんか。

今回のまとめ。

革命とは重たいもの
簡単に「革命」という言葉を使わない者こそ革命家

もしかしたら、現代のプロレス界においての本当の革命は、団体内や業界内のパワーバランスの逆転ではなく、もっと根本的なところにある気がしてきました。
そう考えると、WWEの「スポーツエンターテインメント宣言」って相当な革命だな!と改めて思えました。日本では…難しいですね。大昔から革命とは無縁のわびさびの国ですから。

では、またここで。

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