「プロレスにはアマチュアがある」。
AIが「この表現は不両立な文章です」と意気揚々に指摘してきそうな文言ですが、プロレスにはアマチュアがあるのです。プロ非公認のアマチュアが。
ファンなら気にも留めないのですが、世間一般的にはこの「プロのアマ」という活動が理解ができないようで。
そりゃ当然です。プロレスのアマチュアはアマレスではなく、アマチュアプロレスでアマプロです。
えー、何を言っているかわからなければもうこの船には乗れませんよ。このあともっとわけのわからない航海が待っていますから。

アマチュアプロレスが現代に与えるもの
現役の学生や社会人というプロレスを生業にしていない人たちが行う営利目的ではないプロレス。それがアマチュアプロレス。主に学生プロレス、社会人プロレス、草プロレス(草野球のように)と呼ばれます。
その基盤であり中心が大学生による「学生プロレス」です。
同好会のようなサークル活動が50年以上前から存在していて、サークル(団体)の新設や消滅、数の増減はあれど、現在も残る根強い文化です。
実は、団体が膨れ上がった現在のプロレス界では、学生プロレスがルーツの選手が増えています。インディー団体だけでなく、メジャー団体の大物選手も元をたどれば学生プロレス出身、というのは今では当たり前にもなりました。
やるべき学業とやらなくていいプロレス、ふたつの夢を同時に叶えようとする欲深き若者たちが絶えず存続していることが、なんだか嬉しいです。
現在の学生プロレス事情については各自で検索をお願いします。今回ここで伝えたいことは、プロレスとアマチュアプロレスの線引き、プロへの入口にもなる現状、ということではありません。
ただ単に「学生プロレスのリングネームのセンス、素晴らしいよね!」という末端ながら重要なことについて。が今回のお話です。

学生プロレスリングネームのセンスと宿命
学生プロレスのリングネームはそのほとんどが、実在するプロレスラーや著名人のパロディやオマージュ。そして、そのほとんどが下ネタです。それはもう、くっだらないレベルの。いい意味で。
夢を同時に叶えたい欲深き若者がサークルへ入ると、先輩たちから強引にありがたくないリングネームを頂戴します。どんな名前でも拒否や改名は禁止です。それを背負って学生生活の4年間、人によってはそれ以上、活動しなければなりません。
ただ、この名前が最高にくっだらなくて秀逸なのです。名前の字面だけでインパクト絶大。オリジナルの選手名を知らないと意味不明なダジャレばかりですが、その名を背負う運命に導かれた若者の学生生活における無責任で悲喜交々なフィルターを通すとくっだらなさがさらに増します。
ここで、最近のくっだらなくて秀逸な選手名をいくつかご紹介。ただし、元ネタが誰かはあえて書きませんし、あまりにヒドい下ネタネームは除外します!
● “母の子”マザコン・キッド
● おやなかせたかし
● ドウェイン・ジョンソンエンドジョンソン
● フェリス・ジェリコ女学院
● 飯ブシコシ幸太
● GOKUTSUBUSHI
● どれみ・ふぁ・空2郎
● ヒワイエット・ストームッツリ
本当はもっとたくさんいるのですが、下ネタ除外ルールを設けたらこれが限界でした。個人的には
● 田村女児
が大好きです。

自由を謳歌することは素晴らしくてうらやましい
おそらく学生プロレスのリングネームは、その場の適当なノリで決めた方が響きも出来もいい感じなのでしょう。こういうのは熟考し過ぎると面白くなくなるもんです。そもそもくっだらない名前に愛情を持ちたくないでしょうし。
雑味の中にキラリと光る秀逸さ。恐るべきセンス。そして、この若者たちにアマチュアプロレス界を、いや、日本のプロレス界を、もし大出世したら日本を託す、頼もしき未来。
くっだらなさを背負うということは、4年の制限時間が設けられているからこそ可能な、自由を謳歌しまくる学生らしい心構えの縮図。とてもいいです。そして、学生プロレスでの経験が今後の人生に影響を与えることが、うらやましくもあります。プロレスも人生も無駄な部分はないんですから。
プロレス界にはないアマチュアプロレス特有の伝統と青春、これから先の未来も継承されていくでしょう。
今回のまとめ。
プロレスを経験した人間がこの国を支える
そんな未来になりますように

学生プロレスラーの名前を考えてみる
ここで、私も学生プロレスらしいリングネームをいくつか考えてみます。下ネタ以外で。いつ後輩に雑な命名をする先輩になるかわかりませんから。
● 格下幸之介
● お通じ良太
● 中しか勝たん彦
● 飲みに行く・ミステリオ
● はみだし鞘
● ご送迎タクシー
● seju・ロリンズ
● ドン・フジヒ枝
いざ真正面から思考するとかなり難しいですね。下ネタ規制もありますし。既に存在してる可能性もありますし。というか、元ネタ書かないと誰かもわからない名前もありますし。
やっぱりこういうのはその場のノリで決めるのが一番いい!ということで。
でも、くっだらない名前を考えてる時間は人生で一番意味のない時間で楽しかったです。それも無駄じゃないです。
では、またここで。