年末年始おすすめの“隠れ”注目試合、の話

Before the game

「メリークリスマス」や「良いお年を」という声が耳に入り、そのうち「あけましておめでとうございます」だの「お餅、何個食べた?」だのいう言葉すら聞こえてきそうな近頃を、世の中は「年末年始」と呼ぶのでしょう。
早いもんですね。もう年を締め括ったり、その年の汚れを落としたり、次の年を迎え入れる準備をしなきゃいけないなんて。
ということで、今回は年末年始の特別編
いつもの「プロレス好きから見たそのテーマについてのプロレス持論」ではなく、2024年12月28日(土)~2025年1月5日(日)の年末年始興行ラッシュの各日各大会の発表済みカードの中から個人的に気になる試合をピックアップしてご紹介していきます。
全国だと規模が広いので、全国各地、世界各国からプロレスファンが集まる東京近郊の会場で開催される大会から選びます。また、メインカードは誰もが注目しているので、それ以外の試合を。
「この試合は絶対にチェック!」じゃなく「こういう見方ができるこの試合も興味深く見られます!」という視点でお届けします。

実は、これまで掲載の記事ではあえて固有の団体名や選手名、技やタイトルの名前を使うことを避けてきました。何年後に読んでも変わらず理解できるようにしたかったのと、特定の団体や選手、プロレスファンじゃないとわからない出来事などを並べて内容の敷居を高くしたくなかったのがその理由です。プロレスを知らない人がいつ読んでも伝わるよう意識していました。
特別編の今回はプロレスファンじゃないとわからない展開や名前がたくさん出てきます!むしろそっちに大きく寄らせてます!でも、今のプロレスを追いかけていれば全部が「なるほど」と理解できます。
なお、文中の選手名は敬称略にさせていただきますのでご了承ください。

12.28(土)のおすすめ

DDT/両国国技館
スペシャルシングルマッチ
秋山準 vs 納谷幸男

今年のKO-D無差別級王者、上野、青木、クリス。それぞれが異なるスタイルで、異なる対戦相手と、異なる強さをタイトルマッチで表現していました。若い選手もベテランもそこで自己表現し、現在のDDTは激しく個性がぶつかり合ってます。ですが、唯一その輪に入れなかったのがパワー系の大型選手。次世代の躍進がテーマの両国大会ですが、来年は納谷、飯野、復帰できたら樋口のDDTストロングというべき大型選手が再び中心に戻ってくる予感がします。その弾みとして納谷は負けられない。一方で秋山も簡単に超えさせたくない。どちらも躓けない試合です。

また、この日は「TTT/後楽園ホール」なども開催されます。

12.29(日)のおすすめ

STARDOM/両国国技館
スペシャルシングルマッチ
安納サオリ vs 岩田美香(センダイガールズ)

タイトルマッチ中心に現在のスターダムを傍若無人に荒らしているH.A.T.E.が軸になったカード編成の両国大会ですが、今年何度もシングルで闘ってきた安納と岩田がこの舞台で再戦。普段の王道女子プロレス的カードでも、この大会の中では逆に異色に見え、「なぜ?また?」と思われがちな試合です。スタンダードながら異色、対戦頻度も含め難しい側面ですが、ここで両選手がどんな試合を見せるのか。何度も戦っていることで、この日一番の真っ向勝負が見られるはず。過去の対戦から内容は折り紙付きなので、今回はどんなインパクトを残してくれるか、とても期待してます。

また、この日は「東京女子プロレス/後楽園ホール」「BASARA/新木場1stRING」なども開催されます。

12.30(月)のおすすめ

GLEAT/TDCホール
G PROWRESTLING シングルバトル
山村武寛 vs サイコ・クラウン

1年前の同妃同会場で、約4年9ヶ月に渡る長期欠場から復帰。今年は#STRONGHEARTSの卒業、G-RIZE結成と立場の変化がメインだった山村。試合を通じても動きのキレや肉体が欠場前以上の状態に感じられ、来年こそはタイトルを奪取してGLEATの中心として活躍すべき段階なのではと感じます。もう「おかえりなさい」ではなく「頼んだぞ」と言えるために、ここでAAAの大型ルチャドールから勝利を掴めばその希望が現実になる日がすぐ近くまで来ている証明になるでしょう。逆にここで敗れてしまうと、山村がトップになる時代はかなり遠のいてしまう大事な一戦です。

また、この日は「大日本プロレス/後楽園ホール」「OZアカデミー/後楽園ホール」「チョコプロ/新宿FACE」なども開催されます。

12.31(火)のおすすめ

大日本プロレス/後楽園ホール
スペシャルタッグマッチ
関本大介&田中将斗 vs 野村卓矢&阿部史典

今年の年越し後楽園大会は、まさかの大日本単独興行に。そこで満を持して開催されるのが「キング・オブ・デスマッチ・ワールドGPトーナメント」。世界からどうかしているあぶないバカたちが勢揃いし、各試合デスマッチでワンナイトトーナメントを行う、という出る方も見る方もトチ狂った企画。トーナメント以外の試合もデスマッチばかりですが、その中で組まれたこの通常ルールのタッグマッチ。アイテムがなくてもそのバチバチさと迫力でデスマッチとはまた別のトチ狂った戦いを見せてくれるでしょう。この4選手のタッグマッチがメインじゃないとは、贅沢過ぎる大会です。

また、この日は「全日本プロレス/代々木競技場第二体育館」「アイスリボン/後楽園ホール」なども開催されます。

1.1(祝)のおすすめ

プロレスリング・ノア/日本武道館
シングルマッチ
藤田和之 vs 小田嶋大樹

緊急決定で差し込まれたシングル。しかも1分1本勝負。さらに藤田は前の試合からそのままこの試合のダブルヘッダー。ノアという役者揃いの団体内で新人選手が目立つのは並大抵ではないのですが、今年9月にデビューしたばかりのこの小田嶋は一番怒らせちゃいけない男である藤田に吹っ掛けることでそのハードルを越えてみせました。ここまでは度胸があればできること。問題は1分間、藤田のシゴきに耐え抜けるか、少しでも野獣に爪痕を残せるか、そして覚悟。長い1分間になるか、あっという間の1分間になるか、すべては小田嶋次第、ターニングポイント確定の重要な挑戦です。

また、この日は「栃木プロレス大谷エイド/後楽園ホール」「YMZ/新宿FACE」「WAVE/新宿FACE」なども開催されます。

1.2(木)のおすすめ

全日本プロレス/後楽園ホール
GAORA TVチャンピオンシップ
宮本裕向(第28代王者) vs 田村男児(挑戦者)

正直「果たしてこれは何のためのどういったベルトなの?」感が強かったGAORA TV王座も、今年の立花×阿部の同王座を巡る抗争から生まれたバチバチな試合内容でベルトの価値が数段上がりました。12.8後楽園でそのスタイルを受け継ぐ内容で勝利した宮本にチャレンジャーとして名乗り出たのが田村。このふたりならば今度のタイトル戦もシバき合い必至。田村は12.31代々木第二で関本とのシングルマッチを経ての挑戦となるので、来年の勢いを確約させるためにも、三冠ヘビーへ挑戦への足掛かりとしても、是が非でも獲っておきたいタイトルではないでしょうか。

また、この日は「大日本プロレス/後楽園ホール」「プロレスリング・ノア/新宿FACE」なども開催されます。

1.3(金)のおすすめ

DDT/後楽園ホール
BZWタッグ選手権試合
MAO&ヨシヒコ(第6代王者組) vs 平田一喜&アントーニオ本多(挑戦者組)

海外で大活躍だったMAO&ヨシヒコのタッグが後楽園ホールで見られる!しかもタイトルマッチとして!そのうえ平田とアントンという最高の挑戦者!というだけでお年玉のようにテンション上がっちゃう試合。たとえ休憩前あたりの試合順だったとしても、この4選手が持ち味をフルに出せば強烈な印象として残りますし、結果によってはMAO&ヨシヒコがDDTタッグ戦線に入ってくる可能性もあるかも、という期待感も。プロレスは自由なんだ、ということを2025年も確認させてくれるでしょう。頭からっぽにして目の前で起こることを楽しむべし。個人的大好物なタッグマッチ。

また、この日は「全日本プロレス/後楽園ホール」「スターダム/東京ガーデンシアター」「マリーゴールド/大田区総合体育館」「FREEDOMS/新木場1stRING」なども開催されます。
この年末年始期間で一番多く見ておきたい大会がある多忙な日!

1.4(土)のおすすめ

新日本プロレス/東京ドーム
棚橋弘至ファイナルロード・ランバージャックデスマッチ
棚橋弘至 vs EVIL

来年の1.4に向けて最初に決定したカード。自ら「即引退と髪の毛も賭けてやる」とEVILの挑発に乗ったことで棚橋のリスクが増幅した一方で、今年ずっと作り上げてきた棚橋とEVILの因縁ドラマのゴールというべきカードにまで膨張しました。「棚橋流の勧善懲悪プロレスの在り方」が存分に詰まった一戦になるはずので、これまでH.o.Tの乱入介入や反則行為という暴挙で新日本に失望していた人にはぜひ見てもらたいです。棚橋引退というフィルターもありますが、溜めて溜めて一気に爆発させるプロレスらしいプロレスが東京ドームの大観衆を湧かせるでしょう。純粋に楽しみ。

また、この日は「東京女子プロレス/後楽園ホール」「Marvelous/新木場1stRING」「アイスリボン/横浜ラジアントホール」なども開催されます。

1.5(日)のおすすめ

新日本プロレス & AEW/東京ドーム
スペシャルシングルマッチ
デビッド・フィンレー vs ブロディ・キング

2024年はIWGP GLOBALヘビー級王者として数々の選手を倒し、早くも絶対王者感が漂うフィンレーですが、あまりなかった大型選手とのシングルがドームで。フィンレーは相手を徹底的に破壊するオーバーキル的な攻撃の印象が強い選手ですが、果たしてブロディ・キングのようなキャリアもあるスーパーヘビーにそれが通用するかどうか。パワーボム系の技が多いので、単純に持ち上げられるかも注目です。前日の結果次第ではタイトル戦になるかもしれませんが、東京ドーム映えする大きな会場に似合ったド迫力な戦いが見られることは間違いなさそうです。

また、この日は「大日本プロレス/新木場1stRING」「センダイガールズ/新宿FACE」なども開催されます。

年末年始はプロレス三昧

以上、これが私の「年末年始“隠れ”注目試合」です。
なくなく紹介できなかった試合もたくさんあるのですが、各日から選り抜きでひとつ、メイン以外の気になるカードを9試合、ピックアップしてみました。
ふらりと観戦した大会のスパイスとして、少しでも参考になれば嬉しいです。

今回、記事にまとめたことで、年末年始に毎日どこかで大きな大会が開催されている賑やかなプロレス界が嬉しいな、大晦日までたくさんプロレスがあって年明けもたくさんプロレスが見られる環境はありがたいな、と。そう感じさせてくれましたね、今年も今年で。
欲張って言っちゃうなら、もっともっと賑やかでもいいんですよ!
興行ラッシュの繁忙期だけでなく、どの会場でもお客さんが超満員。大熱狂。大興奮。大満足。
プロレスはまだまだ可能性がたくさん。もっともっと広がるはず。そのために少しでも後押しができればと思っています。

年が変わってもプロレスは変わらず続いていきます。
まずは年末年始、ひたすらプロレスを見ますしょう。楽しみましょう。
おせち料理と違って、365日ずっと見てても飽きないんですよ、プロレスって

では、また来年もここで。

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