多様化?乱立?チャンピオンベルト、の話

コラム

11月24日に行われた野球の国際大会「WBSC プレミア12」の決勝で台湾チームが勝利し、見事初優勝を果たしました。おめでとうございます!
今年一度も渋谷に足を踏み入れていない私が3月と8月と年に二度も訪問している台湾、親近感も芽生えた国が念願の野球世界一に輝いたというニュースに嬉しくなりました。そんな記念すべき年に台湾プロ野球を球場観戦ができて良かった。
ところでこのプレミア12ですが、WBCやオリンピックと何が違うのか。参加国の規模や開催の目的は何なのか。世界一の価値はどれだけなのか。そんな疑問を野球に詳しくない人でもわかるように説明できる人ってかなり少ないのでは。
野球だけではありません。あらゆる競技にはいくつも世界大会があるので、「世界一=チャンピオン」が複数存在するのです。
現代のプロレス界もそ例にもれず。ひとつの団体に何本もチャンピオンベルトがある状態です。
どのベルトが何の一番なのか。どのベルトにどんな選手が挑戦できるのか。どのベルトが最強なのか。プロレスに詳しくない人にもわかるように説明できる人は、野球のそれよりさらに少ないでしょう。ファンでも難解な王座もありますし。
ということで今回は、チャンピオンベルトが増加する理由と見解や展望、のお話です。

チャンピオンベルトの現状

まずはじめに、ここでは昨今議論になるの「ベルト乱立問題」についての是非は述べません。
数年前から数々の媒体で擦られている話題ですし、おそらく今後、ベルトはさらに増えることはあっても減ることはない、と思っているからです。
週刊プロレス最新号(2024年11月27日発売号)の「日本プロレス主要団体チャンピオンリスト」に掲載されているタイトル数は全部で114本
掲載団体数が29団体なので、単純計算で1団体で約4本(3.931本)のベルトを管理していることになります(最大は1団体で10本)。
加えて、非掲載の団体のチャンピオンベルトもありますし、タッグだったらふたりなので2本、6人タッグなら3本のベルトが物質として存在します。
となると、日本だけでもおそらく200本以上のチャンピオンベルトがあるのです。そりゃあ多いと言われます。いつか、全選手が何かしらのチャンピオンベルトを巻いている時代がくるんじゃないかとヒヤヒヤします。

なぜこれだけ増えたのか。その理由は、団体側の思惑としてチャンピオンベルトが増えれば戦いの理由も多岐にわたるので、ストーリーの活性化に繋がるからです。
また、ベルトを獲らせることで選手の底上げやバックアップになります。
なによりベルト姿は見栄えがいいです。はじめて観戦するお客さんにも視覚的に強さを伝えられます。
プロレス団体にとって、ベルトはあるに越したことはないのです。
そして、ベルトの廃止や封印は、チャンピオンが常時存在し続けるため大きな理由付けがないと難しく、新設されるペースには及びません。
そうです。ベルトは増える一方です。
都度、統合や整理もされてはいますが、今年旗揚げした新団体が半年もしないうちに3本のシングルベルトを設立するくらい、プロレス団体はベルト頼みなのが現状です。
これは覆らない事実。今後も本数が増えることを見据えてベルトをどう扱っていくべきかを考えます。

チャンピオンベルトが増加する理由

個人的な見解ですが、ベルトを増設させることに反対派ではありません。理由としては、

●明確なコンセプトの差別化によりタイトル戦線に絡める選手が増える
●地方大会でのタイトルマッチ実施の増加に繋がる
●ベルトが賭けられることでその試合への勝負論が強くなる

→プロレス界の活性化に繋がる

これが大きいので、数の増加よりメリットを重視しています。
ただ、増やすなら増やしたで責任は取ってよ、長い目で見てよ、ということは大前提として。
チャンピオンベルトに一番大事なのは、イメージでもインパクトでもスケールでもなくて、歴史なのです。

大事なのは歴史と親心

設立されたばかりの新しいベルトはファンにも馴染みが薄く、そのタイトルマッチで関心を引くことも簡単ではないです。
また、新設時に就いたチャンピオンの色が濃過ぎて発展性が見出せないことも。
その結果、ファンの話題にそのベルトが挙がらず、選手同士の争奪戦も起こらず、淘汰され、いつの間にか団体が封印するケースもあります。
ですが、どんなベルトでも期待を込めて作られたものです。
幾多の選手が挑戦し、勝利した選手が王者として防衛戦をする。その繰り返しですが、それが歴史というものです。
歴史を重ねることでベルトの価値は徐々に上がっていきます。一気に跳ね上がることは稀です。
ですから、ベルトを管理する団体は今所有しているベルトを大切に扱ってほしいのです。ファンの皆さんは一緒に育ててほしいのです。
新設することは勢いでなんとかなるかもしれませんが、廃止することはそのベルトを誰も大切にできなかった、という証にもなってしまいますから。
プロレスは積み重ねのジャンル。新しく生まれたベルトはどんなコンセプトでも可愛がって育んでいくのが親としての役目なはずです。団体も選手もファンも、みんながかわいいチャンピオンベルトの親ですよ。

これからの提案や在り方

歴史と親心が大事なベルトをどう育てていくか。そこで、教育方針という名の願望やアイデアを考えてみました。

●ベルトを持つことで生まれるメリットを明確にする
その団体に継続出場できる手形でも、戦いの中心に居られるでも、ギャラが上がるでも何でもいいので、なぜそのベルトを獲りたいのかが選手にもファンにも伝わりやすいタイトルにすることが重要です。それが見出せないベルトは意味を持たないでしょう。

●真のチャンピオンカーニバルを開催する
シングル、タッグ、ヘビー、ジュニア関係なく、その時点のベルトホルダーたちによる特別なトーナメントを開催します。普段見られないカードの実現にファンも盛り上がりますし、ベルトを保持する選手たちの意気向上やベルトへの愛情の再確認にも繋がります。ここではベルトの格付けは度外視です。

●独特なデザインのベルトを作る
派手だったりいびつだったり前衛的だったりと、前例のない形状や色合いのベルトを作ることで、中身だけでなく外観からも差別化を図ります。このベルトはこの選手に巻いてほしい、似合うから自分が巻きたい、という願望が生まれたら、それだけで価値も上がりますし。

●7本揃えると願いが叶うベルトの新設と争奪戦を行う
散らばった7本のベルトを賭けた試合で勝利し続け、すべて揃えた選手の願いを団体が叶えます。ほかのベルトへの挑戦でも、自主興行開催でも、ユニット立ち上げでも、CMでも、何でも。これならどのシリーズどの会場どの相手でもタイトル戦と銘打つ試合が組めます。願い叶え系のリーグ戦はありますがベルト通じてシリーズ関係なしに。ちなみに、願いを叶えたベルトはただの紐になり、再び効力が表れるのは1年後です。要はドラゴンボールです。

あくまで個人的なアイデアと提案ですが、ベルトの数が増えるならば斜め上の設立と存在の理由があればいいと思います。

よーく考えよう ベルトは大事だよ

今回のまとめ。

ベルトは、その団体の通貨
インフレやデフレを起こさない程良いバランスが重要

そして、大事に育てることが最重要

乱立と言われていますが、チャンピオンベルトはあったらあったで困らないものだと思います。
漫才のつかみでいうところの「今、コンセプトがようわからんチャンピオンベルトをいただきましたけどもね、ありがとうございます、こんなんなんぼあってもいいですからね」なものです。

人生で一度もチャンピオンベルトを巻いたことがない私ですが、きっと巻くだけで自信も風格も大きくなるのでしょう。チャンピオンベルトは全プロレスラーが目標にしているものですから。それだけ価値のあるものなんでしょう。
私は残念ながらチャンピオンベルトを巻くことはできませんが、太ってしまって長さが足りなくなったので、新しいベルトを買いに行きます。


では、またここで。

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