レフェリーってなんだろう、の話

コラム

ひとつのフィールドで共存していく以上、それぞれ決められたルールの中で行動していくのが社会生活。地域や環境によってそれぞれですが、倫理的なものはもちろん、道徳的な明文化されないものまで、ルールは重要で必要不可欠なものです。
信号は青で進んで赤で止まる。物を盗んではいけない。他人に暴行してはいけない。税金を納める。道に落ちてるコロッケはタワシかもしれないから食べない。時間を守る。お年寄りや病人を敬う。などなど。
ですが、誰も見ていないからとルール違反をする人、わかっていながらルールを無視する人がいるのも確かです。いわゆる、反則行為です。
スポーツや競技にもそれぞれルールがあり、それに則って勝敗や優越を決めます。ルールがなければ試合は成立しません。反則行為が行われないのはルールがあるから。
そこでプロレス
試合中はプロレスという競技内でのルールで裁かれます。それを判断する人、それがレフェリーです。
今回は、プロレスにおいてのレフェリーの重要さ、についてのお話です。

プロレスでの反則行為

まず、プロレスにおける反則は何か。プロレスと反則の関連性はいつか書きたいテーマですが、ここでは簡単に整理しておきます。
・凶器の使用、目や喉や急所への攻撃、噛みつき、拳でのパンチなどはすべて反則とする。
・選手の体がロープに触れているときはブレイク状態として攻撃が認めらず、技も解除する。

基本的にはこれだけです。簡単だなー。
と安心するなかれ。
はい、ここで一般的にもよく耳にする「プロレスは5カウント以内まで反則OK」という言葉が出てきます!
これが曖昧の源なのですが、個人的にはこれこそプロレスというジャンルを象徴する最強のワードだと思っています。
じゃあ5カウント内なら何をやってもいいの?ルールの意味がないのでは?
ここでレフェリーが必要となるのです。

ルールを人間の形にしたもの

プロレスはルールに縛られない競技と思われがちですが、実はレフェリーという名のルールの具現化に常に見張られたガチガチに厳しいの競技なのです。
ルールを守って試合をする選手もいれば、ルールの隙をついたりレフェリーの目を盗んで巧妙に反則行為を行う選手もいます。選手個々のスタイルによりますが、プロレスラーは相手だけでなくレフェリーの行動も気にしつつ自由に自己表現をします。
レフェリーは選手の自由な行動をルールに則って臨機応変な対応をしつつ、試合を動かしていく。
神経も体力も同時に使う過酷な役職なのです。

レフェリーは絶対!

プロレスを知らない皆さんが持つプロレスの印象として「ルールが難しい」というのがあります。
基本的に勝敗は「3カウント(フォール)やギブアップ(降参)で決まる」、これだけ覚えてください。
で、それ以外ですが、ズバリ言ってしまうと、「レフェリーの言うことは絶対!」です。
レフェリーがOKであればOK。ダメと言ったらダメ。それだけ。
レフェリーはリング内で絶対的な存在。試合の軸を握っている人物。プロレスにおいて選手以上に重要なポジションと言っていいかもしれません。
そして、絶対的な立場ではあるけれど、レフェリーだって人間です。
カウントの速度が人によって違ったり(そもそもカウント=秒ではないので速度に定義はないが)、見ていないところでの反則に気付かなかったり、選手がぶつかってきたら失神してしまうことも。反則負けにしたいけど個人の裁量で戦いに水を差すことをしたくない気持ちだってあるのです。
反則を取るのも取らないのも、選手を止めるのも止めないのも、カウントを3つ叩くのも叩かないのも、全部レフェリーの判断、匙加減です。
極端に言えば、プロレスのルールが不安定なのはレフェリーの判定基準が曖昧だから、と結論付けられるような存在でもあります。
ただ、そのレフェリーの判断がプロレスの試合を盛り上げて、選手も観客も熱狂させる要因になっているのは事実です。
曖昧だけど重要曖昧だから重要
そう、レフェリーはプロレスを司るうえで重要で必要不可欠なピースです。

レフェリーに求めるスキル

ここから個人的な希望を。
レフェリーに就く際に「怪我や事故など不測の事態での緊急処置」のスキルを習得してほしいのです。
プロレスは怪我が付きもの。試合中にどんな場面でアクシデントが起こるかわかりません。
もし大怪我だった場合、リングの中でとっさに応急処置を行えるのは立場上レフェリーだけです。
試合を止めることはもちろんですが、選手がどういった状態なのか、そこで取る最善の処置は何か、周りに何を指示できるか。こういった判断をその場で行える能力は持ち合わせるべき。
最近は状況判断力に長けたレフェリーも多く、安心して試合を見られる環境に近付きました。
ですが、大小さまざまな団体があり、キャリアもそれぞれなので、全員ではないのも現状です。
プロレスラー同様にレフェリーにもライセンス制度がないプロレス界ですが、万が一の怪我や事故に備えて、もしものとき何をすべきか、何をしてはいけないのか。講習などでも良いのでそのスキルを得てからレフェリーを務めてほしいです。
プロレスの幅を広げる部分は大きいですが、選手を守ること、お客さんを不安にさせないことがレフェリーの一番大事な役割だと思います。
これはぜひ、よろしくお願いします。

だって人間だもの

野球やサッカーではビデオ判定やセンサー導入で判定の機械化が進んでいます。競技ではその判定ひとつが試合を大きく左右するので良い傾向でしょう。
そんな時代ですが、プロレスには機械では判定できない競技です。
何十年後も、レフェリーが人間らしさを失わず試合を裁くことができるのはプロレスだけじゃないかと。
プロレスがヒューマンリアリティの競技であるならば、そこにいるレフェリーも人間らしさを持つべきだと思います。

今回のまとめ。

裁量次第で試合の印象が大きく変わる
プロレスのレフェリーは試合のディレクター

ところで、レフェリーのシャツのデザインって、太めの白黒の縦縞模様がほとんどですよね。
それはなぜかというと、選手と間違われないように、また遠くからでも目立つようにとあのデザインになったんですって。
…普通かい。そこは「勝負の白黒、俺がはっきりつけてやるぜ!」じゃないのかい。

では、またここで。

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