新台湾プロレスを見てきた、の話 大会雑感編

Watching the game

前回の試合開始前までのお話の続き。今回は大会と試合についてです。
先にお断りですが、現地で新台湾プロレスを観戦するのはがはじめてな私。ほとんどが初見の選手。現在の各選手の立ち位置やストーリーがわからない。そもそも現地の言語が理解できない。という状態です。謂わば「プロレス知識に長けた新台湾プロレス初心者」なので、新台湾プロレス事情に詳しい方からすると間違った解釈や見方をしているかもしれません。
正しい情報ではない場合があるので、試合のレポートではなく、あくまで雑感という視点で目を通していただければ嬉しいです。

試合開始前

会場内にはお客さんが80名ほど。大きくはない会場ですが、イスが増席されるほどたくさんのお客さんが集まりました!
新台湾プロレスをいつも応援している現地のファンと、墨雨リングアナウンサーの独特の調子もあって、自分にとってはさらに強まる異国感。
賑わいの中、試合開始

新台湾プロレス 「決戦新台湾」8.31中壢道場大会

第一試合

● ALEX COOL(07:08 BKO)BKN 〇
最初から客席のアクセルは全開。いきなり最高潮のような盛り上がりです。
選手に合わせて手拍子を打ったりコールをしたりで、お客さんが全力で楽しんでいる様子が伺えます。
なるほど、台湾のプロレス熱はこんな感じか。客層や雰囲気はこんな具合か。目に入るものが新鮮!な状況でいろんな場所を見ていたこともあり、あっという間に試合が終わってしまいました。

第二試合

● 真雙拳豪(04:05 SKY driver )SKY 〇
続いては、おそらく今大会で一番日本のファンに馴染みがあるSKY選手の登場です。
日本での、そして3月の大日本台湾大会で見たときと同じコスチュームで入場。
過去に見たことある選手が出てくると不思議と安心するもので、ようやく自分もこの場に慣れてきました。
今大会では第二試合という位置、そして対戦相手がベテラン真雙拳豪選手のチャレンジマッチという感じもあってか、SKY選手はこれまでに見た「奇天烈な中学生」という感じではなく「頼もしいお兄さん」でした。
試合運びにも余裕が見え、体格もひと回り大きくなり、表情や動きの表現力も増していました。試合内容もほかの選手にはない落ち着いたもので、すっかり安心感を備えたエース選手になったことを感じました。

第三試合

● 剛田魁(07:08 南蠻王降臨)Black Ho 〇
試合前に、7月に続き今月も日本から吉野恵悟レフェリーが招聘されその紹介アナウンスが。お客さんも「待ってました」とばかりに大拍手で歓迎です。さすがSuperRef、すっかり機敏なレフェリングがここでもすでにおなじみのようです。
新台湾プロレスは団体や男女問わず日本の選手やレフェリーをほぼ毎月呼んでくれるので、訪台現地観戦の懸け橋としてとても貴重かと思います。
これまでのふた試合とは違い、第三試合は厚みのある選手同士による肉弾戦。ぶつかり合いが軸の説得力のある展開にこの団体の強みが見えました。
敗れた剛田魁選手は所属になったばかりのようで人気はあるのですが思う通り結果が出ないようですね。Black Ho選手はヘビー級の選手として強さの象徴的存在になったら面白そうでした。

ここで20分ほどの休憩時間。日本と同じように物販タイムでもあります。
客席すぐ後ろのグッズ売り場は出入口付近なのも手伝って混雑、グッズ購入や選手とコミュニケーションをとったりするお客さんも多いです。

第四試合

● 布奇(10:34 ダイビングセントーン)Lucifer 〇
再び試合へ。セミの第四試合は、HIPHOPvs.MONSTERという異色の濃いキャラ対決です。老若男女知識造詣問わず、わかりやすい見た目と動きとファイトスタイルで試合が進みます。
結果は布奇選手のおどろおどろしさと怪力に苦しめられたLucifer選手が、技を畳みかけての大逆転勝利。知識が薄い新台湾プロレスのリングだからこそ、こういうビジュアルと展開が作る明確な試合の重要性を改めて感じさせてくれました。

第五試合 WIRFORCE無差別級王座 次期挑戦者決定戦

〇 A-Yong-go(12:48 上天的安排)鬼狼 ●
いよいよメイン。Instagramでの情報から、おそらくSKY選手のベルトにこの試合の勝者がチャレンジするようです。
団体旗揚げメンバーで現社長(かと思います)でもあるA-Yong-go選手への人気はこの日一番。自然とコールが湧いていました。
一方、鬼狼選手も入場時に2本のベルトを掲げていた(ひとつはタッグ?)ので実力者なのは間違いなさそうです。
どちらかがヒールとしてダーティーな攻撃や反則を混ぜるでもなく、しっかりとした展開で試合が進みます。お客さんの声援などから、団体を牽引するヒーローvs.ダークヒーローという印象を受けました。
終盤に謎のピエロマスク(The Clown)が突然乱入し不可解な行動、そして鬼狼選手の手助けをするも拒否され、その隙をついてA-Yong-go選手が勝利。なにがどうした?…という展開で状況が把握できないながらも、これまでのプロレス経験値を活かしてなんとか察知できたよ!というメインでした。

メイン終了後

試合後はチャンピオンと次期チャレンジャーの対面もなく、介入したThe Clown選手と拒否した鬼狼選手の揉め事もなく、勝利したA-Yong-go選手の締めのマイクもなく、そのまま淡々と終わります。
たまたま今回だけそうだったのかもしれませんが、このエンディングは日本とは全く違う光景でした。
ですが、お客さんは帰り支度を始めません。最後にリング上で本日の来場者へのプレゼント抽選会が始まるからです。
ボックスから半券を引き、当選したお客さん3名に何かしらのプレゼントが渡され、墨雨リングアナの締めの挨拶があって大会は終了。そのあとは日本と同じ終了後の物販タイム、という新台湾プロレス8.31中壢道場大会でした。

全5試合。時間にして休憩含め約90分
思っていたより短いながらもてきぱきしたテンポで進む、間延び感のない興行でした。

雑感と総括

はじめてライブで見た新台湾プロレス。会場の雰囲気やお客さんの盛り上がり、そして選手の個性と試合の熱量。いやー、新鮮な経験でした!
今回、5試合すべてシングルマッチだったのでタッグマッチも見たいですし、日本人選手がこのリングでどんな試合どんなアピールをするのかも興味ありますので、それらはまたいずれ、次の機会の楽しみにしておきます。

選手の技術や体格など、アメリカや日本のメジャー団体の選手と比べるとスケールダウンしてしまうのは当然のことです。試合数も台湾国内では限りがあるので場数も多くないでしょう。
見た目は劣りますが、プロレスの表現として観客の心を掴むことができる要素を新台湾プロレスは兼ね備えていると思います。
個性の強いカリスマ的な選手もいますので、その選手を軸にどう発展させていくか、どんなストーリーを作っていくか、そこが団体と選手の腕の見せ所。日本やアメリカのプロレスから多くの影響を受けている台湾のプロレスですが、この先、台湾独自の、この環境この文化だからこそ見られるオリジナリティのあるプロレスが表現できたら、今よりもっと規模が大きくなるでしょう。
団体旗揚げして13年も続いているのですから、地盤力や根強い人気は立証されています。新台湾プロレスも、台湾全土でのプロレスも、今後どこかで新しいスター選手が生まれたり、一般社会にも響くようなカルチャーになったりと、可能性に満ちたジャンルということが感じ取れました。
いつか台湾のプロレスが、日本で大会を開催したり、世界中に名が広まるような活動が起こるのを願っています!

はじめての台湾のプロレス

どんなジャンルでも入口から中に入り出した瞬間の新しい光景というのは、何もかもが新鮮で刺激的。わからないことがあったり疎外感があっても、それを調べたり再び目に触れることで学習し、さらに興味が膨らむ。
これから趣味として大事な糧になっていく入口であちこち見回しているジャンルにはじめて触ている時期って一番楽しいかもしれません。
そのときの喜び。今回の新台湾プロレス観戦では、その片鱗を少しでも味わえたのが大収穫でした。
そして何より、プロレスは面白いと再確認できたのが納得でした。

全試合終了後に地元のちびっこファンと触れ合うSKY選手。やさしい世界。

今回のまとめ。

新台湾プロレスは、のびしろだらけ。
ひとつのきっかけが大きな変化になる、
そんな予感が

体感した90分、アツかった!
選手も、観客も、スタッフも、会場の温度も、外の気温も、ぜーんぶアツかった!
興奮しても、水分補給、忘れずに。

では、またここで。

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