現地時間2024年7月24日、パリで開幕。まもなくオリンピックがはじまりますね。
最高の舞台で最高の結果を目指し、あらゆる国から集まった幾多のアスリートたちが全力で各競技に挑みます。
そして、タイムや点数を争う競技や種目では、今回も世界新記録が生まれること間違いなし。
そのときアナウンサーは叫ぶでしょう。「時代が変わった!」と。
時代が変わる瞬間は目撃できるか
「時代が変わる」。
新時代と呼ばれ、若い世代が台頭してきた近年のプロレス界でも良く耳にする言葉です。
はたして、プロレスにおいて「時代が変わる」その瞬間って、その場そのときに目撃してもしっかり伝わるものなのでしょうか。
今回はそのことについて考えてみました。
プロレスにおける“時代が変わる”とは
私が思うに、時代が変わったかどうかは、そのときにはわかりません。未来にわかります。
プロレスというのは得点や記録で争う競技ではないので、記録更新=時代が変わる瞬間、というシチュエーションがありません。
もっと言ってしまうと、明確な記録では評価されない、成績と評価が必ずしも一致しないのがプロレスという競技であり奥深さです。
負けたって予選落ちだって金メダル、もなくはない話です。
記録だけでなく、好成績や大会優勝も時代の変化とは結びつきません。
もし、新世代と呼ばれる選手が「史上最年少優勝」「キャリア最短で戴冠」という結果を出しても、それはあくまで「偉業」であって、時代が変わったことにはならないのです。
そして、プロレスはキャリアを積めば積むほど各選手それぞれの物語が厚くなり、観客や団体が主役として視点の軸に置くことが多くなります。
軸になったその選手が負け続けても、悲壮感にシンパシーすら感じてしまう。こうなると、成績だけでは新しい時代は掴めません。
引退はどうなのか。
プロレスで怪我などが原因で引退することはあっても「この選手に敗れたので」「記録を抜かれたので」のケースで引退することはほぼ皆無です。そういう部分での競技じゃないのがプロレスですからね。
また、不慮の怪我や事故で人気の選手が突然プロレス界からいなくなってしまう、という悲しい出来事もありました。
それはその選手の物語がピリオドを迎えたことで、時代が変わったとは言えませんし、そんな形で変わってしまう新しい時代は新世代の選手もファンも望んでいないでしょう。
未来が予測できない奥深さ
過去のプロレスの歴史の中で、大きなターニングポイントとされる試合はいくつもあります。
ですが、それは「あのときのあの試合(勝敗)が今のこの時代を創ったんだね」と数年後、数十年後に振り返ってようやく気付くことであって、その瞬間に確信できる人はいないはずです。もしいたら、そいつはタイムリーパーです。捕まえてください。
その試合で結果を残した選手が、その後のキャリアでどんな活躍をしプロレス界にどこまで影響を与える存在になるのかなんて定かじゃないですし、明確な成績や記録で評価されない競技であるプロレスで今そのときに「時代が変わった」という判断をすることはナンセンス。
未来予測の答えに正解はないのですから。
新世代の選手と現世代のファンへ
今年に入ってから特に、年齢やキャリアの若い選手を団体の主役に抜擢する風潮が強いプロレス界。ファンの間でも賛否はありますが、業界内の若返りやファン層の拡大など、長期的な視野でこのジャンルを発展させようとする姿勢は個人的には賛成です。
一方で、ベテラン選手は不要ではなく大事な存在なのも今のファンは知っています。変わらず高い支持の選手が多くなっています。
年齢やキャリア関係なく、ファンがそれぞれ感情移入できる選手がいて、選手それぞれ個性や物語が存在する。楽しむ選択肢の多い現在の環境は見る側にとってたいへん恵まれていると思います。
そこで。
若い選手が良く使う「時代を変える!」という言葉。
もちろん、その願いと誓いを言葉にしなければ成し得ないことですが、ファンの気持ちがすぐ動かないのは前述のとおり。誰が決めるでも認めるでもなく、成功も失敗もなく、何年か経ったときに振り返って「本当に時代を変えたね」と称賛されるものです。
なので、諦めないでください。
時代を変えるにはひとつひとつの試合や出来事とどう向き合ってどう観客に伝えていくかが重要で、すぐに明確な支持を得られなくても、そのときはあくまで通過点。
そこで止まらずくじけず自分らしさを貫き通せるか、その「覚悟」が大事です。
そして、見る側のファンの皆さん。
そんな若い選手の「覚悟」を「言うだけで全然変わってないじゃん」などと簡単に判断せず、未来のプロレスファンにも託すような長期的な視野でそれを受け止めてほしいです。
時代の変化は通過点の積み重ね。明確じゃないだけで、今日も明日も来週も、日々時代は変わっているんです。実は。
変わる時代、変わらぬ現在
今回のまとめ。
プロレスで「時代の変化」はすぐにわからない。
が、転機は近い未来に気付ける。
プロレスを長く見続けるご褒美が変化に気付くこと。
オリンピックは4年に1度で開催地も決まってますが、プロレスは毎週毎日どこかで試合があります。
すなわち、時代の変化が毎日起こっているんです!
見続けるご褒美もありますよ。それは何にも代えがたい喜びですよ。
では、またここで。