カレーにチョコレート
味噌汁にヨーグルト
ホットケーキにマヨネーズ
少量加えるだけで、それ自体は主張することなく、全体の旨みや深みを引き出す要素。それが料理における「隠し味」です。たくさんありますが、有名なのはこれらでしょうか。
きっとみんなそれぞれ「おすすめ隠し味」を持っていると思います。
ちなみに、私の「おすすめ隠し味」調味料は「焼き肉のたれ(中辛)」です。万能です。
で、プロレスです。プロレスの試合における隠し味って何なのだろう。と思ったのです。これがあれば見慣れた対戦や展開の試合もいつもと違って見える!という隠し味。
今回は「プロレスにおいての隠し味」について考えてみました。

隠し味とはこうあるべき
その前に、隠し味とはどうあるべきものか、自分にとっての基準やこだわりを定義しておきます。
辞書には「目立たない程度にごく少量加え、全体の味わいを引き立たせる調味料」と記載されています。
自分にとっての隠し味は、メインになるものを引き立たせる役割はもちろん、それが一切見えないこと、誰にも気付かれないもの、毎回新鮮な味を感じさせること、あってもなくても成立するもの、というものだと思っています。

プロレスの隠し味は何だ?
さて、プロレスにおける隠し味は何でしょうか。
攻防の軸になる技。これはもちろん違いますね。
選手個々のキャラクター。なくてはならないものです、隠す必要はありません。
バイプレイヤー的な選手。その技量や巧みさはファンの誰もが認知していますから、隠れても見つけます。
試合を裁くレフェリー。主役ではないですが、試合では選手と同等の重要なポジションです。隠れたら困ります。
受け身、表情、アピールなど。これらは共感や感嘆を得るプロとしての技術です。あえて見せるもの、気付かせるものです。
ラフな技、凶器攻撃、反則、流血。というのも試合の中でインパクトを残せるシーンなのでこれでもない。
たくましい体。肉体は選手がそれぞれ自己主張するための装備ですから、隠しようがないものですね。
入場時の照明やエントランスなどの演出。試合以外ですが、隠し味ではなく料理でいうお皿などの装飾でしょう。

隠れていない、隠れてはいけない
このように思い浮かべてみても、どれも「隠れて」いないし、「隠れて」はいけない。隠し味というより料理の味付けのメインに近い、試合を構成する上で欠かせない表舞台の要素、必要不可欠なパーツばかりなのです。
プロレスでは、大会が始まって全試合が終了するまで、リング上や会場内で起こる出来事は、すべて観客に見せるために計算され、練り上げられています。選手の動き、表情、タイミング、さらには照明や音楽に至るまで、隠れるものはほとんどなくて、すべてが「見せる」ためのものなのです。
したがって、プロレスにおいて隠し味というものは存在しない、という結論になります。

隠し味はここにあった
ただし、隠し味と呼べるものがあるとすれば、それは観客ひとりひとりが試合や選手に対して抱く「先入観」でしょう。
「この選手は弱いから対戦相手が勝つ」「さすがにこの選手が連敗はしないだろう」「このユニットは信頼できない」「実はこのふたりは他団体でライバル関係」など、観客それぞれが持っている予断や期待、疑念、思い出が、リング上の出来事にオリジナルのスパイスを加えるのです。
「プロレスは100人いれば100通りの感想が出る」というのはまさにこのこと。
同じ試合や同じ展開を見ていても、人によって味わう深みや興奮の質が違うのは、異なる先入観がもたらす化学反応によるものなのです。だからこそ、すべての試合に新鮮な驚きや感動が生まれます。
プロレスは、選手と観客の感情がクロスしたときに最高に盛り上がる一体型のエンターテインメントです。何もかも隠れていないプロレス、その唯一の「隠し味」は観客が持っているのです。

いい感じで、ちょうど良く
今回のまとめ。
先入観という隠し味
どれだけ入れるか
何を刺激させるか
もしくは入れないか
それは観客それぞれの「匙加減」

SNSなどで自分の先入観を大っぴらに言ってマウントを取りたがるファンもいますが、隠し味はわざわざ人に言うものでなく一切表に出さない自分だけの味付けにしておくのが料理人のセンス、ですよね。
では、またここで。

