クリスマスまであと1ヶ月。子どもたちはサンタさんにお願いする欲しいおもちゃをそれぞれ考え始めている頃かもしれませんね。
現代のクリスマス商戦って、何が売れ筋なんだろうと考えると、やっぱりテレビゲームの本体やソフトなんでしょうか。最近ではスマホでもゲームができるのでサンタさんにお願いするものが「課金」という子どももいるかもしれませんね。
クリスマスといえばおもちゃ。おもちゃといえばゲーム。ゲームといえばプロレス…とはならないですが、そもそもゲームとプロレスって相性の良いものなのでしょうか。
過去にはどんなソフトがあって、今後関わり合いはどうなっていくのか。今回は「プロレスとゲームの親和性」についてのお話です。

プロレスゲームソフトの歴史
ゲームとプロレス。ふたつの関係を考えたとき、パッと思い浮かんだのは「プロレスってゲーム化されたことはあるけど大流行しない」というものでした。
まずはざっと、プロレスという競技を題材にしたゲームソフトの歴史を紐解いてみましょう。
1985年に「キン肉マン・マッスルタッグマッチ」が発売され、これがプロレスゲームの元祖と言われていますが、蓋を開ければキン肉マンのキャラによるアクションゲームでした。
翌1986年に「タッグチームプロレスリング」と「プロレス」が発売され、技をかけて3カウントやギブアップを奪ったり、場外戦や凶器攻撃もできたりと、登場選手数が少ないながらもプロレス然としたプロレスゲームがようやく誕生しました。
そして1989年にはのちにシリーズ化される「ファイヤープロレスリング」シリーズの第一弾が発売され、1991年に「スーパーファイヤープロレスリング」がヒットし、今現在もプロレスゲームのスタンダードとしての位置を築きます。
実在する選手や団体が出るソフトだと1995年に「闘魂烈伝」が発売、以降も選手名を使ったゲームは多数発売されますが純粋にプロレスの試合をプレイするものとは異なったりそもそもヒットしなかったりで徐々に廃れ始め、近年では「WWE 2K」シリーズと「AEW Fight Forever」が輸入盤のみで発売されたくらいでしょうか。
40年の歴史があっても、ヒット作品らしいものは希薄で「根付いてない」というのが正直なところです。

ゲームとプロレスの相性は?
そもそも、プロレスという競技とゲームの相性はいいの?となったとき、私は「全然、良くない!」と言い切ってしまいます。
確かにゲームの世界では実現不可能な選手同士の対戦や、歴史を超越した夢の対戦が見られます。グラフィックもかなり上質なので、ゲーム画面を見るだけなら「凄い」と思ってしまいます。ただ、それはビジュアル面だけの部分で、実際にプレイをしていて楽しめるか、となると話は別です。
プロレスとゲームは、どちらも「非日常を本気で楽しむ」エンターテイメントです。なので「共存しようとすると、決定的に噛み合わない」のでしょう。

格闘ゲームはプロレスではない
格闘ゲームは今ではひとつのカテゴリーとしての地位を築いていますが、プロレスは格闘技なのでそのカテゴリーに含まれるか、というと答えは「NO」なのです。
これは、プロレスは基本的に「見て楽しむ競技」だからです。
自らが思った通りに技が出る、勝敗が決まる。そうじゃないからこそプロレスは面白いんだと思います。逆に格闘ゲームでは自分が操るキャラが思いがけない動きをしたり、コントルールとアクションが一致しないとただのクソゲーです。
そして、ゲームの中には感情表現は出てきませんし、出せません。
とにかく勝利にこだわり、一切の隙も見せられないのが格闘ゲームであり、勝利を前提に表現の意識や所作が重要なのがプロレスです。
そこにキャラ(選手)の特色や歴史、相手や状況への感情、それらが含まれているのがプロレスという競技です。それをゲームで表現するのは難しい、というか、それはもはやゲームではなく、決められた展開や勝敗を見ているだけのCGになってしまいます。
現代の技術で、ゲームのキャラに外から見える感情を表現させることは難しいでしょう。
これは近年急速に成長している生成AIにも同じことが言えます。AIで作るプロレスの試合は、見た目がリアルな分、感情のなさに目が行ってしまい逆に面白みに欠けるのです。
プロレスファンは「ストーリー」と「キャラの生き様」にお金を払い、ゲームファンは「技術」と「努力」に敬意を払う。両者を同じリングに立たせると、必ずどちらかが傷つく。というのが、これまでも、そしておそらく未来永劫融合できない大き過ぎる壁なのです。

プロレスは格闘ゲームではない
では、ゲームとプロレスは一切関わらないのか、その方がベストなのか、となると、そうでもないのです。
今活躍中の選手には、テレビゲームでプロレスを知ってそこから憧れを持ちプロレスラーになった、という選手もいます。
格闘ゲームに出てくる技が実際に試合で使われるのを見てプロレスに興味を持った、という選手もいます。
もちろん、選手だけでなくファンになったというきっかけがゲームだったというケースは多いでしょう。
なので関係性はあった方がいい。でもプロレスゲームは格闘ゲームと違って流行らない。ならばどうすれば良いか…。
希望としては、プロレスとは直接関係のないゲームに実在のプロレスラーがキャラとして登場する、というのが一番効果的で、ゲームを通じてプロレスを広められる最大のきっかけになるんじゃないかと思います。
ハードルはかなり高いですが、日本だけでなく世界でプロレスはありますし、ゲームも盛んです。日本人選手が何かの大ヒットゲームソフトに登場する、夢のある話ですが、こんな未来が実現できるくらいプロレスが大きなブームになることを願っています。

共存しないけど共栄させる
「ゲームみたいなプロレス」も「プロレスみたいなゲーム」も、どちらも誉め言葉ではありません。それぞれのジャンルを揶揄した表現になってしまいます。
共存できない、親和性が低いことはこれまでの歴史が証明しているので、逆にそれを活かしてどう並び立っていくか、が今後のテーマでしょう。
今回のまとめ。
手元の操作でどうにでもなるプロレス
予想の斜め上の行動をするゲーム
どちらも間違ってるから、どちらも共栄する

答えは、「プロレスはゲームに適わない」「ゲームはプロレスを超えられない」ではありません。
ゲームとプロレスは「共存できないからこそ共栄できる、似てるようで相反するふたつのジャンル」なのです。
それぞれが多大に発展して、ユーザーやファンを楽しませてくれる未来が楽しみです。
どちらも、夢を現実のものとして表現してくれる「最高の非日常空間」ですから。
では、またここで。


