現代社会とミックスドマッチ、の話

コラム

男子選手と女子選手が同条件で対戦する競技」で頭に思い浮かんだのは何でしょうか?頭脳戦ならばあると思いますが、肉体で勝負する競技ではほぼ見当たりません。
現代社会では「男尊女卑」というハラスメント極まりない言葉は完全に消え去り、「男女平等」という平等と付けることで差別的な言葉も聞かなくなり、男女の括りではなく「個人」としてしっかり評価が与えられるようになりました。
また、ジェンダーギャップが重視され、固定概念や偏見での判断をなくそう、という多様性の時代でもあります。
今回はそれにちなんだプロレスの多様性「ミックスドマッチ」について、のお話です。

利点が多いミックスドマッチ

プロレスにおける男女の壁。
フィジカル面での差はどうしても生まれてしまいますが、技の技術や適格力、そして観客に伝える表現力は男子も女子も「プロレス」という同じライン上に存在します。
そしてそのラインが観客にもしっかり認識され、男女関わらずフラットに試合を見て楽しむことができようになったのが現代のプロレス界です。
その延長線上にあるのが「ミックスドマッチ」。性別関係なく、男女を混ぜ合わせた組み合わせで行われる試合形式のことです。
通常では考えられないようなカードが提供できることも魅力のひとつですが、ミックスドマッチは視覚的な面でも優れています。
男子選手だからこそ表現できる力強さと迫力。女子選手だからこそ表現できる華やかさと軽快さ。そのふたつが絡むことで、これまでになかった動きや攻防が展開されるのです。
普段は絡まない男子と女子の選手が融合してこれまでにないムーブを生み出す。これは選手にも観客にもメリットが多いですし、実社会でも同じような現象を作り出すきっかけではないでしょうか。

プロレスが社会的モデルにも

このミックスドマッチは今後、プロレスから社会へ届けるメッセージのひとつとしても注目されると考えます。
ジェンダー平等や多様性が現代社会の重要なテーマです。性別で分け隔てることをせずに試合をするプロレスはその良きモデルとなり、文化的な議論を請け負うのに充分な場だと思います。
男女のフィジカル差を感じさせる試合展開もありますが、その配慮も充分されています。そのようなカードを提供する以上、一方的に終わることはほぼありません。そういう状況でしか出せない特別なメッセージもあります。

ミックスドマッチの価値と展望と注意点

現時点では全団体でミックスドマッチが行われておらず、男子と女子で完全にカテゴリー分けする団体は多いです。
それは見る側も同様で、伝統的なプロレス観を持つファンは男女混合の試合に対して抵抗感を示す人もいます。
また、フィジカルの差を感じさせてしまうカードには勝負論としてのリアリティが薄まってしまうこともあります。
これが「結局、男女は交わらない」や「混合させないのは時代錯誤だ」というわけではなく、プロレスの歴史からすれば男女を分けることがスタンダードなので、その価値観は大事にしてほしいとも思っています。
一方で、ミックスドマッチを通例化している団体は、今後もファンの高揚感を刺激する試合を組んでほしいです。選手のスキルアップにも繋がりますし、業界や社会での需要も発展見込みもあるので。

ただ、これだけは注意してほしいと思うこと。
通常の試合でも当然のことですが、ミックスドマッチであればなおさら試合中の怪我や、長期欠場を要する致命的な負傷だけは避けなければいけません
もしそういった事例が起こった場合、社会的モデルどころか、一般層からの激しい弾圧が待ち受けていること必至です。男女関係なく、この試合形式ではより選手の注意が必要です。
見る側が心配になってしまうミックスドマッチほど見ていて辛いものはないですから。

プロレスと多様性社会を繋げる試合

もしかしたら世間一般に、そして世界的に向けて一番訴求力が高く、社会的意義を生み出せるプロレスの試合形式はミックスドマッチかもしれません。ほかの競技ではできないジェンダーフリーなコンテンツとして確立されれば、プロレスとは別のエンターテインメントにも成り得る可能性すらあります。
そのためには、団体の方針、試合の見せ方、選手の安全性、観客の支持が重要です。現時点ではそのバランスや配慮が成立しているので、このままの状態でさらにミックスドマッチが繁栄し、影響を与え、プロレス界と多様性社会の未来を切り開くカギになることを願っています。

今回のまとめ。

ミックスドマッチはプロレスで表現される多様性
現代社会に寄り添う
状況に応じたプロレスを

現代では性別だけでなく、人種や思想や戦争など用いたアジテーションで観客のヒートを買うプロレスラーっていなくなりましたね。それだけ組織がしっかりしているということでしょうか。
これに関しては表現の自由では済みませんからね、大きく賛同です。
より良い世の中に。プロレスで世界平和を。が信条ですから、私。

では、またここで。

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